家具は思い出を刻むもの。23脚目の椅子はフリッツハンセンのエッグチェア

椅子に仲間が加わったよ

  

ベア：この前休日いなかったすけどどこいってたんすか？

ちょっと会社のお使いで遠出してたんだ。

ポニたん：移動自粛は大丈夫だったの？

嫁氏は平日休みで移動自粛日ではなかったからね。

迷ったけど仕事のお使いがあったから。

お使いの帰りに寄ったのが大好きな家具屋さん。

その家具屋さん閉店しちゃうから最後に行った。

そして帰りにある子を連れて帰ってきたよ。

うそ！これって…やばいやばい！

さあ23脚目の椅子にご挨拶しよう。

椅子の中の椅子。

フリッツハンセンのエッグチェア。

大好き巨匠ヤコブっち

 

椅子オタク嫁氏には何人か好きな

デザイナーがいる。

 

その中の一人がデンマークの巨匠アルネ・ヤコブセン。

嫁氏はヤコブっちと呼んで勝手に慕っている。

彼のデザインした椅子や道具が

MS家にはいくつかある。

セブンチェア。

アントチェア 。 

ヤコブセンクロック。 

椅子の多くはデンマークのメーカー

フリッツハンセンが正規品を復刻。

なんでそんなに好きっすか？

好奇心とチャレンジ精神でどの時代にも愛される

デザインを生み出した人だからだよ。

例えば成型合板でできた背面と座面が

一体型になった椅子アントチェア 。

成型合板というのは今では家具や建材に

当たり前に使われているよね。

でもイームズチェアで有名なアメリカのイームズさんも

当時は成型合板で完全な一体型の椅子は作れなかった。

というのも背面と座面を一体型にしようとすると

強度などに問題があったからだ。

遠い異国のデンマークでイームズのチャレンジを知った

ヤコブっちは「よし！僕がやるぞ！」と取り組んだ。

試行錯誤するうちにたまたまアリンコみたいな形になる。

一見愛嬌ある可愛い椅子だけど

しなる背面は座り心地がいい。

・やりたいことにチャレンジ

・見た目も洗練

・でも機能面も申し分ない

・そして長く愛される

そんなものをたくさん生み出してきたゆえ

彼のデザインは普遍的で嫁氏も大好きなんだ。

詳しくはこちらの記事を読んでね↓

記事▶︎批判？なにそれ？美味しいの？我が道を行こう！アルネ・ヤコブセン 

あまりにヤコブっちが好きでヤコブっち関連の

聖地巡礼をこれまでたくさんしてきた。

デンマークのヤコブっちデザインホテル。

記事▶︎ヤコブセンホテルの憧れスイートルーム606号室

彼の家具が使われた香川の古民家再生プロジェクト

記事▶︎デンマーク×古民家が調和する本島のフリッツハンセン庵

そして大阪池田市の彼のお孫さんが関わる

ハウス・オブ・トビアスヤコブセン。

デンマークと日本の良さを融合した

素晴らしいお店

だった…

デンマークを感じるお店

 

このお店に行ったのは去年のこと。

 

ヤコブっちのお孫さんが関わった店で

ヤコブっちの家具がいっぱい。

 

パラダ椅子！ 

 

でもこのお店の魅力はそれだけではなく

建物そのもの。

 

日本×デンマークそれぞれの良さが融合している。

 

昔の紡績工場を再利用し

デンマークのサマーハウス のように仕上げた建物。

明るい日差しが差し込み何時間でも

居たくなるお店。

 

店内をみて回るというより「過ごす」

という言葉がぴったりだ。

 

お店の人もフレンドリーで何度か来店以外でも

やり取りをさせていただいた。

 

その時の記事はこちら。

記事▶︎ハウス オブ トビアス・ヤコブセンで和×デンマークの空気感を感じる 

 

 

厳しい家具業界

 

お金を貯めていつかここでスワンチェアを買おう。

 

そう心に決めていた矢先

閉店のお知らせが…

 

ヤコブっちの家具を扱うメーカー

フリッツハンセンの大阪店に統合されるそう。

リンク▶︎正規販売店フリッツ ハンセン ストア 大阪 

 

確かにここがなくなっても

フリッツハンセンの家具は買える。

 

でもここだからこその良さがあったのになあ…

 

今は家具業界厳しいらしっすね…

そうなんだよ。

以前日本の家具心配だよって書いたでしょ？

記事▶︎家具ってどこで買いますか？日本の家具屋減少にむせび泣く

どんどん地方からは家具屋さんが減少している。

いろんな原因がある。

例えばネットショッピングが当たり前になって

価格ばかりがクローズアップされるようになった。

そしてそこにコロナが追い討ちをかける…

日本の家具市場が心配だ…

ただここの閉店は

ネガティブな理由だけじゃなかった。

フリッツハンセンの家具は扱っていたけど

経営はまた別だそうだ。

より提案の幅を広げるため

別のことに取り組んでいくらしい。

そこはちょっとホッとした。

ただこの優しい空気感はもう味わえない。

2020年3月29日で閉店となる。 

嗚呼…

最後のお店の風景を動画にまとめた。

閉店セールで出会ってしまった

最後のご挨拶にと駆けつけたら

閉店セールでどれも破格の値段。

フリッツハンセンって普通値下げしないもんね！

そうなんだよ。

そしてやばいもん見つけた…

なんと椅子の王様エッグチェアが

ありえない破格の値段で売られていた…

この椅子はそもそも手放す人いないから

ほぼ中古でも出回らない。

そして仮に中古でも値段はほぼ下がらない。

それだけ価値があるものだからだ。

特にレザーは使うほど味が出て

仮にお金に困ったら売っても価値がつく。

（まあ絶対売らないけど）

もうこんなチャンス二度とない。

これは行くしかない。

今年はコロナで旅行行けないので旅行資金を回し

ワクワクさんに懇願しワクワクローンを組んだ。 

ワクワクローンは無利子だよ！

車に詰め込みお持ち帰りし

晴れてMS家の子になりましたとさ。

エッグさんきたぁあああ！

姐さんが壊れたっす！

全方位無敵なエッグチェア

でかいけどなんかかっこいい！でもあたたかみがあるね。

そうなんだよ。

色々秘密はあるけど例えば背もたれね。 

よく見ると左右対称じゃないでしょ？

これはオリジナルが左右対称じゃないからなんだ。

ヤコブっちはこの椅子を作るとき

粘土をこねて造形し図面におこした。

それをそのまま再現してるから完成された型なのに

いい意味のぬけ感があり温かみが生まれる。

機能としてももちろん申し分ない。

座るとまるで包み込まれ夢見心地。

そしてこのハイバックが

プライベート空間を生み出す。

元々ホテルのロビー向けに作られたから

広い場所でも自分の空間を確保する意図があるんだよ。

さらにリクライニング機能付きだから

いろんな姿勢で楽しむことができる。

座るというただその行為。

それだけで時に人を高揚させ

時にリラックスさせる。

まさに椅子の中の椅子。

キングオブ椅子。

それがMS家に来たなんて最高すぎる。

パラダ椅子！

ちなみにエッグさんはでかいから椅子を移動し

空間のバランスを取るためちょっと模様替え。

リビングに似合うなあ。

鼻血でそう…

家具は思い出を刻む。

 

まさかMS家にくるとは思っていなかった

エッグチェア。

嬉しい反面やはり悲しい…

 

大好きなお店がなくなってしまったからだ。

 

けれどあの場所で感じた日本にいるのに

デンマークのような暖かさはきっと忘れない。

この椅子に座る度に思い出すだろう。

 

きっかけとしては胸が苦しいけれど

あの場所で買えたことに意味がある。

 

今は家具は対面でなくネットで購入もできる。

 

配送も楽だし比較もしやすい。

 

MS家もオークションやフリマで買うことがある。

ほしい椅子を買える店が近くにないからだ。

 

だけどやっぱりできるだけ対面で買いたい。

お店の人と話して思いをしっかり聞いて。

 

なぜなら家具は毎日使う暮らしの道具。

特に椅子は人に一番近い家具だから。

使うたびに思い出が刻まれていくものだからだ。

 

そう考えるとそもそもどこで買うかということも

MS家にとっては大事なプロセスの一つ。

 

あの場所を思い出しそしてこれからはこの場所で

この子を育てていこう。

ハウスオブトビアスヤコブセンさん

お疲れ様でした。

 

この子はここで元気に過ごしていきます。 

 

しっかしかなり思い切ったねぇ…

 

この際だから雑貨もちょっと買ったんだよ。

それはおいおいご紹介していこう。

 

でもなんならあの建物ごと買いたかった！

 

これからさらに節約してしっかり仕事頑張るっす！

 

椅子のためならエンヤコラ！