ただいま!
みんな何してるの?
ベア「あ、姐さん!昨日の旅行準備記事で
旅に出たくなって!過去の旅行写真見てるんす」
ノートルダムだね。懐かしいなあ…
でも火災だなんて辛いね…
ポニ「こんな立派なものが焼けるなんて…」
ただ復元に向けて早くも
動き出しているみたいだよ。
でもねどう復元するかで
今ものすごく議論がある。
「どう復元するか」に
ついては日本にも同じような問題があるよ。
何年も前フランスへ行きました。
モンサンミッシェルで塩に目覚め
サクレクールで怖いお兄さんに追いかけられ
ルーブルで床を愛でて
ヴェルサイユで窓に夢中になった旅。
ノートルダム大聖堂も行きました。
一瞬だけ。外だけ。
なぜ入らなかったか?
人が多すぎた…
そして疲れていた…
怖いお兄さんに追っかけられ
ムーランルージュ前の交差点で
カバンを開けられ…
ちょっと疲れてたんです。
だから外から見て堪能。
今にして思えば入っとけばよかった…
一瞬だったのでその旅では
影が薄かったノートルダム。
だけど現地申し込みツアーの帰りにバスで
ガイドさんが興味深い話をしていた。
「実は屋根もすごいんですよ。
何十年と時間をかけて乾燥させた木です。
壊れたら直すのは簡単でないでしょうね」
石造りに見えるノートルダム大聖堂。
だけど屋根の部分には木材を使っていた。
このことである議論が起こっている。
「最新技術で違うデザインを」
「いやいや元どおりに!」
①忠実に元どおり
木材は乾燥で強度が生まれ安定。
もし忠実に直すなら同じ木材を見つけ
乾燥させることになる。
ノードルダムの木部について
こんな記事を発見。
要約すると
・木材調達開始は1200年頃開始
・1500本切った
・1年放置して皮を剥ぐ
・菌類から保護するため沼に25年
(多分水中乾燥のこと)
※水中乾燥すると木の内部の
不純物が流れて綺麗になる
・切断してさらに25年自然乾燥
・ここまで準備だけで約50年
完全にもとどおりなら…
準備だけで50年…1500本
ただ最近は技術が進歩して
人工乾燥も一般的に使われる。
やり方は様々で本来数年かかるものを
1週間で終わる場合がある。
デメリットもあり太い木は芯まで乾燥困難で
出来上がりが自然乾燥より劣るとか。
出来るだけ忠実に再現すると
時間はかかるが伝統は引き継がれる。
ただ再度の火災がと考えると…
②現代に合わせデザインを変える
そもそもノートルダム大聖堂は
一度廃墟になって修復された。
18世紀に頃このおじちゃん
ウジェーヌ・エマニュエル・ヴィオレ・ル・デュク
(舌噛みそう…)が活躍。
Eugène Viollet-le-Duc - Wikipedia
元の尖塔よりもっと高く
そして尖塔の周りには像を配置して。
昔とは違う大きな変更に
当時は批判もあったそう。
だけどおじちゃんは
「建築でしょ?じゃあ機能も大事だよね。
正確に直すことだけが目的じゃないでしょ!」と。
次世代に引き継ぐために現代の技術を使い
材料やデザインを変更するという考え方。
結局どうするかはフランスの人が
決めること。
ただ日本でも実は同じような
問題がある。
ここ何年か日本のお城が人気。
大阪城は来場数が275万人(2017年).。
本屋にはお城の本が増え
アプリも続々生まれている。
お城を見るだけでなく
天守閣の「復元」「再建」もブーム。
最近だと尼崎城が復活し一般公開された。
安土城も再建が検討されているとか。
日本の伝統や歴史が蘇っていくのは
素晴らしいことだと思う。
一方で問題もある。
それが「忠実か」
「現代に合わせるか」
文部科学省が「復元に関する基準」
の中で形式も構造も忠実に
と言っているからだ。
①森林破壊の問題
例えば名古屋城の天守閣が
木造で復元されようとしている。
コンクリートで一度作られたものの
老朽化して耐震基準が変わってきた。
そこで木造でということになったけど
姫路城の2倍の面積。
結構な量の杉やヒノキが必要そうだ。
だって木材の使える部位は限られる。
それなりの太さや大きさの木をかなりの量…
さらにこの記事では神社の御神木が狙われていると。
嫁氏は無宗教だけど歴史を大切にする意味で
神社の御神木って大切だと思う。
「木造で忠実にする」ことは
伝統的素材を使い職人を雇用する面で
メリットもある。
でも環境面ではどうなんだろう。
②バリアフリーの問題
姫路城にはエレベーターがない。
階段は急で高齢の方には苦行の
ような階段だと思う。
復元ではなく元々あったものだから
後からつけるのは難しいかもしれない。
ただこれから復元される城は
設置できる可能性もある。
歴史を忠実にという意味なら厳しいけど
特定の人しか見れないのはなあ…
「忠実か」「現代に合わせるか」と問われたら
一概にどっちとは言えない。
日本の高い木造技術が
後世に引き継がれるのは
嬉しいことだ。
一方でそれで森林破壊が進むのは
自然と共に生きようとしてきた
日本人の姿勢に対し本末転倒。
それにせっかく修復しても
特定の人しか見られないのは疑問。
だからどっちがいいとか
悪いとか簡単に言えない。
ただ一つ言えるのは焦って復元すべきではな
ないんでないかということ。
ブームに乗せられ
あれもこれも
早くこっちも
とトントン拍子な復元も見られる。
でも焦ってやってもそれって
本当に次世代に引き継ぐべき
ものなのかなあ…
いくら天守閣だけ忠実にやっても
その周辺の堀や道が
お粗末では意味がない。
本来どんなお城だったか
周辺をどんな素材でどこまで復元するか
強度としてどうか
特定の人だけの建物になっていないか
その辺りを焦らずもっと議論してからでも
いいんじゃないかと思うのです。
そしてその議論は偉い人だけでなく
私たち自身もということ。
名古屋城は名古屋の人
姫路城は姫路の人
に主に関わること。
だけどそれを見に行くのは
その地域の人だけでないし
環境については日本全体に関わる。
パリはノートルダムだけでなく
街並みも美しかった。
行政の都市計画や街並み規制もあるけど
そこには住む人の建物や街全体への
意識や理解、協力もあると思う。
その場限りでなく古い建物を大事に残しつつ
現代の暮らしとどう折り合わせるか。
ノートルダムを思い出しながら
そんなことを考えました。