ベア「前回は北欧インテリアについて
お届けしたけど僕一つ気になることが」
なあに?
ベア「あのサイドボードは北欧家具
じゃないんすか?」
あれはイギリスの家具だよ。
ベアちゃん「すごく北欧っぽいわ!
だって足も長いし!」
ポニ「そうそうイギリスって言えば
こういうクラシックなやつでしょ?」
ところがどっこい。
60年代のイギリスって
北欧の影響を受けてるんだよ。
そんでもって遡ると北欧もまた
イギリスの家具に影響を受けてるんだ。
イギリスの家具、特にアンティーク
といえばどんなものを
思い浮かべるだろう?
ヴィクトリア調の家具?
クィーンアン調?
クラシカルなものを想像する人
も多いだろう。
実は年代や階級によって
いろんなスタイルがある。
家具は上流階級のものだけではない。
農民たちは自分達のための家具を作っていた。
それがウィンザーチェア。
(これはベルメゾン だけど)
この名前の由来は諸説あり
ウィンザー地方から来た
という説などがある。
記録が残っているのは18世紀ごろ
からだけどもっと前からとも言われる。
デザインはこういう背面に細い木を使うが
地域によって形は様々。
地元で取れるブナやタモなどを使い
リーズナブルで実用的な椅子。
この椅子実は世界の家具に
影響を及ぼしている。
例えばアメリカに渡り19世紀に
ロッキングチェアが大流行した。
機械による初めてのウィンザーチェアで
その快適な座り心地にみんなが夢中に。
北欧ではウェグナー のピーコックチェア。
豊口克平のスポークチェア。
渡辺力のウィンザーチェア。
日常でもレストランなど行くと
子供用の椅子でこういうデザインがある。
少ない材料で実用的で強い椅子は
世界のモダンな家具のヒントとなった。
一方上流階級や中流階級はどうだろう?
17世紀は面白い時代だ。
統治者の変更で椅子のデザインも変化。
例えばジェームズ1世の時代は
ルネサンスやゴシックっぽい。
ウィリアム3世の時代になると
背が高くかなり細かい彫刻が。
これは当時カツラが流行っていたため。
「インスタ映え」ならぬ
「カツラ映え」する椅子だ。
その後18世紀になると
商人が力をつけて家具の需要が高まる。
いろんなテイストで家具を作る
チッペンデールさんが活躍。
19世紀はとにかく派手!
この頃になると機械も発達し
過去のデザインを気軽に作れるように。
粗悪品もたくさん出回った。
そこである動きが起こる。
そういう粗悪品やめようぜ!
もっと職人を大事にしようぜ!
そんで装飾ばっかじゃなく暮らしで
使えるもの作ろうぜ!
アーツアンドクラフツ運動だ。
ウィリアムモリスさんが
質が高くて実用的なものを
作ろうよと呼びかけたのだ。
元々は大衆がいいものを安く
手に入れられるようにという運動。
だけど実際は手作りでコストが上がり
結果的に富裕層向けになった。
だけどここでの運動は
無駄じゃなかった。
実用的でシンプルでみんなが
使えるもの。
そんな発想はドイツに渡って
バウハウスに影響したり
そして北欧にも渡る。
「手仕事」に縛られずうまく機械を
取り入れた北欧。
伝統とモダンのバランスを取り
1950年代は北欧家具の黄金期となった。
モリスさんが実現できなかったことを
絶妙なバランスで
実現したのが北欧家具
と言ってもいいかもしれない。
じゃあそんな北欧家具黄金期
当のイギリスは?
実は戦争で国により家具の生産が
規制されていた。
北欧家具がどんどん世界に広まり
活気が生まれていく中足踏み状態。
そんな中小さな家具会社
ヤンガーファーニチャーが
50年代に北欧スタイルの家具を作る。
小さな会社のため生産コストがかかる分
チーク材でなく類似のアフロモジアで
北欧テイストの家具を生産。
ここから火がつくように
イギリスの北欧スタイルが生まれる。
戦後すでに大量生産の形を整えていた
E Gomme社も負けない!
何年もかけてプランを立てながら
うちの家具を揃えて欲しいという思いで
「G-Plan(ジープラン)」を立ち上げる。
60年代になると北欧スタイルを取り入れ
デンマーク人のデザイナーを雇った。
後に続け!と
老舗のマッキントッシュも
60年代から北欧スタイル。
我が道をゆく個性派のネイサン。
60年代には広告で
「Scandinavian by Nathan」
を宣言した。
現在もマダムに人気なアーコール。
彼らはだけはちょっと違って
ウィンザーやシンプルな椅子を生産。
Ercol / アーコール社 [Stacking Chair / スタッキングチェア]
ただそういうシンプルなものを
北欧家具に合わせる人も少なくなかった。
北欧家具の影響を受け
また北欧家具にも影響を与えたのが
イギリスの家具たちだ。
イギリスのものづくりの革命や
北欧家具の世界への広まり。
それらはお互いに影響しあい
現在の暮らしのインテリアにも関わる。
人が作り出すものはある日突然
生まれるものではない。
何かの出来事や暮らしの不便
そういったものを解消しようと
解決策として発展していく。
その発展は一つの国だけでなく
他の国の発展にも影響していく。
家具選びやインテリアは
どんな暮らしをしたいかの上に
考えるべきだと嫁氏は思う。
それは家具の歴史を見てもわかる。
その時代の人々の暮らしの先に
家具の発展や変化があるからだ。
だからね北欧家具の話
学校の歴史の授業でも
ちらっと出したらいいのに!
ベア「それはあり得ないから!」
ポニ「それ楽しいの嫁氏だけ!」
みんな意地悪だなあ。
ちなみに北欧家具はアメリカにも渡り
MS家の大好きなミッドセンチュリーと相互に影響。
それはまた次回のお話。
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