椅子好きのMS家にはいろんな椅子さんがいる。
一番最初に買った中古椅子が
パントンチェア。
Vitra社製の赤とオレンジ。
新居ではテラスに置く予定。
※追記:引っ越し後のテラスはこんな感じ。
この曲線美は樹脂のみで作られ
(最初はイームズチェアと同じFRP)
世界で初めて背面も座面も脚まで
一体型として作られた椅子。
ヴィトラ Vitra Panton Chair パントンチェア
あとミニチュアもいる。
今はなきレアックジャパン製。
デザインしたのは
ヴェルナー・パントン
(バーナー・パントン)
優しそうな顔のおじさん。
デザイナーというと「センス」や「才能」を
イメージする人が多いかもしれない。
でも実はものすごい努力家。
今回はこのおじさんのお話。
パントンは名作家具を
たくさんデザインしている。
コーンチェア
照明グローブ
VERPAN ヴァーパン GLOBE 50 グローブ50 ペンダントランプ
照明パンテラ
ルイスポールセン Louis Poulsen パンテラ ミニ
また家具だけでなく空間もデザイン。
70年代にケルン見本市で展示された
ファンタジー・ランドスケープ
近未来的で奇抜。
鮮やかな激しい空間。
全くリラックスはできなさそう…
ソワソワする…
ホテルアストリア。
赤×オレンジのレトロな空間。
50年以上経って今も全く古臭くない。
今もみんなに愛されるパントンデザイン。
でも評価されない辛い時代もあり
ものすごい苦労人。
しかも人前に出るのが大嫌いな
シャイボーイ。
デザインのイメージからしててっきり
岡本太郎や梅津かずおみたいな
ハイテンションな人を想像していた。
そしてデザインを見ると最初は
どこの出身か全くわからなかった。
イタリア人デザイナーかなとか。
アメリカ人デザイナーかなとか。
(一回は座ってみたい)
実はデンマーク人。
(奥さん美人すぎる!)
デンマークというとウェグナーや
モーエンセンのように木製家具が思い浮かぶ。
実際活躍を始めた頃も木製家具が主流で
評価されなかった。
1950年代当時デンマークは
スカンジナビアン家具つまり北欧家具の黄金期。
「木製」
「シンプル」
「素朴な色合い」
「無駄を省いた機能美」
彼の「プラスティックLOVE❤️」な考え方と
カラフルな色使いは受け入れられなかった。
時代を先取りしすぎたんだろうね。
叶えたいでっかい夢がある
でも周りには理解されない。
そんな状況のときにパントンは
どんな行動をとったのか?
①外に飛び出していろいろ試す
1957年にデザインしたコーンチェア。
ヴィトラ Vitra ミニチュア コレクション Miniatures Collection
製造してくれる会社がデンマークで見つかるも
当時は北欧家具全盛期。
パントンチェアは
デンマークでは誰も作ってくれない…
そこで友達とお金をかき集めてワーゲンバスを買う。
椅子を積んでデザインしながら
車上生活。
ドイツやオランダ、フランスへ行き
家具メーカーを回る日々。
そしてとうとうハーマンミラーやVitra
イタリアのPadovaと繋がりを持つ。
周りから理解されないなら
無理に理解させようとせず
外に出てみる。
するとわかってくれる人がいることがある。
②ひたすら努力する
パントンの並外れた造形や色彩への感覚は
実は相当の努力で手に入れたもののよう。
王立美術アカデミーで建築を学んだ超エリート。
だけどそれで終わらない。
色彩心理学を学び
色が人に与える心理的影響を考えデザイン。
彼の色へのこだわりは半端ない。
"Choosing colours should not be a gamble.
It should be a conscious decision.
Colours have a meaning and a function."
色の選択は賭博じゃいけないんだ…。
意識的に選択したものじゃなきゃ。
色は意味も機能も持っているんだからね。
(訳・引用 嫁http://www.verpan.com/?)
つまりなんとなーくの「感覚」ではなく
色の持つ意味や影響を研究を重ねた上で
作品を作り上げていった。
実際失敗も多かったらしくこうも言っている。
A failed experiment can
be more important than a trivial design.
実験に失敗することは
つまらんデザインを作るより大事なんだ。
(訳・引用 嫁http://www.verpan.com/?)
そしてスイスのアパートへ移ったとき
自分のアパートをトータルコディネートして
ついにセンセーションを巻き起こす。
注:これ、アパートです…
みんなから理解されなくても
努力を積み重ねて成功をつかんで行く。
③信念を持って続ける
パントンはこのアパートで一躍スター。
70年代頃からはアメリカの宇宙競争もあり
スペースエイジインテリアの影響で大ヒット。
↓スペースエイジとは?
80年代は影をひそめるも
90年代亡くなる直前に再評価され始める。
つまり彼のデザインは
マスターピースとなった。
それは彼が周りになんと言われようと
自分らしくあり続けため。
The main purpose of my work is
to provoke people into using their imagination.
Most people spend their lives in dreary,
grey-beige conformity, mortally afraid of using colours.
By experimenting with lighting, colours, textiles
and furniture and utilizing the latest technologies,
I try to show new ways to encourage people
to use their phantasy and make their surroundings more exciting.
僕の作品の主な目的はみんなの想像力を刺激すること。
ほとんどの人は退屈そうに、揃いも揃ってグレーとベージュばっかりで、
死ぬほど色を使うことを恐れながら生活している。
照明や色、テキスタイルや家具で実験したり、最新の技術を使ったりして、みんなが想像力を使って、
自分の住む場所をワクワクするところに変えらえるような
方法を僕は見せていきたいんだ。
(引用・訳 嫁VERPAN - VERNER PANTON)
インテリア特に色の持つ力で
みんなの生活をもっと豊かに楽しいものに。
アンド トラディション &Tradition フラワーポート ペンダント
彼のつくるインテリアには
そんな思いがこめられている。
個性的な色や形の椅子や照明は
彼同様に個性的。
それでも長きにわたって愛されているのは
自分にしかできない方法を見つけたからだ。
パントン、ありがとう…
嫁氏はやる気が湧いてきた。
「そんなに椅子集めて!」って言われようと
「この椅子オタが!」って言われようと
自分らしい家を作ろう。
※今回のインタビュー引用元
VERPAN社 VERPAN - VERNER PANTON
ドイツ雑誌DEARMarianne Panton - DEAR Wohnen - Interviews | dear-magazin.de