フランキーの影に日本人
ナウガ親分「ヨドコウ迎賓館訪問の続きだゾォ!」
今回も迎賓館の中を嫁氏とお散歩しましょう。
この建物設計者はフランクロイドライトこと
フランキー(勝手に呼んでます)だけど
彼は基本設計のみ。
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実質の部分をやっていたのは
2人のお弟子さん。
フランキーは
「あとはYouに頼むよ!4649❤︎」
って帰っちゃった。
2人のうち
フランキーに「エンドーサン」と呼ばれた
遠藤新さんの世界に触れて日本のデザイン教育を考えた。
エンドーサンとリクシルさんと
・福島県出身の建築家
・フランキーLOVE
・フランキーの弟子になる
・「全一」の考え
・帝国ホテルを完成
・学校建築
エンドーサンは大正から昭和に
活躍した日本の建築家。
真面目でまっすぐな人柄な一方
夏はふんどし一丁で過ごす豪快さ。
彼にとって既に有名建築家のフランキーは
「神」であり「憧れのスター」った。
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そんな彼と帝国ホテルの支配人を
通じてお近づきに!一緒に作業することに。
その時に重要文化財自由学園のお偉いさん
そして今回の迎賓館の元の持ち主山邑さん
その人たちとフランキーを
引き合わせたのがエンドーサン。
フランキーは完璧主義のためタイルもこだわり
帝国ホテル用のタイル製作所も立ち上げ。
それがのちのINAX、つまり皆さんご存知の
LIXIL(リクシル)さん。
フランキーは予算オーバーする
帝国ホテルの設計で経営者と対立。
「あとは4649!」と帰ってしまう。
引き継いで最後まで終わらせたのが
エンドーサン。
そしてヨドコウ迎賓館
を仕上げたのもエンドーサン。
だからエンドーサンがいなければ
フランキーの設計は完成しなかったかも。
彼は完全にフランキーの
「自然と建築の調和」を受け継ぎ
その遺伝子をここに残している。
じゃあそんなエンドーサンの
仕事を見に3階と4階を見て回ろう。
びっくり設計の家具
お風呂
洗面所
小間使いの部屋を通って
家族寝室として使われた部屋へ。
ここで嫁氏興奮。
大好きな照明
外に使われる石が内にも使われ
ここでも内と外の連続性を感じる。
でもここで一番注目すべきは家具。
エンドーサンによる椅子と机。
※震災後復元されたもの。
まず椅子さんはフランキーの特徴
格子が印象的。和室にもあった。
幾何学模様もまさにフランキー。
現在カッシーナでフランキーの椅子を復刻。
この遺伝子をエンドーサンが受け継いでいる。
でも何より感動したのは机。
この机浮いているように見える。
なぜでしょう?
普通机は天板の端っこに
ボディを支える脚がある。
でもこの子は真ん中に脚。
現在日本のバルコニーにも使われる
フランキーのキャンティレバー構造。
フランキーのキャンティレバー構造。
キャンティレバーは片方だけを固定する
浮いてるような構造。
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帝国ホテル設計時地震の多い日本で
弾力性もバランスも満たす構造が必要だった。
まるでウェイターが料理を運ぶように。
キャンティレバーを採用した帝国ホテルは
関東大震災にも関わらず建物が残った。
LEGO(レゴ) Architecture Imperial Hotel
それを応用したのがこの机。
まるで軽やかで浮いているよう。
ただ支えるために脚が太い。
それを解消するためにわざと
切り込みが入っている。
この切り込みにより太い脚でも
優雅で軽やかに見える。
強くて丈夫という家具の機能と
美しさを同時に満たす。
まさにフランキーの遺伝子を
受け継ぐ家具だ。さすがエンドーサン!
では4階へ
人も家具も部屋も繋がろう
食堂とキッチンと屋上。
ここで注目すべきは全体の繋がり。
家具も建具もマホガニーで統一感がある。
天井には細工が施され空間全体が
窓や暖炉のデザインともマッチ。
その先には屋上があり空や自然を愛でる。
自然と部屋
家具と空間
全てに繋がりを持たせている。
エンドーサンは「全一」という考え
を持っていた。
都市と家
家とそこにくらす人
部屋と家具
全てが一体となってこそ
いい空間だと考えた。
これはフランキーの
空間に関わるもの全てが
お互いに大事な要素だよ
とする有機的建築と同じ。
フランキーだけでは自分のしたいこと
実現できなかったと思う。
彼の遺伝子を丁寧に引き継ぐ
まさに一番の愛弟子さんだった。
暮らす環境を真剣に考えてみよう
エンドーサンは生涯学校建築にも
力を注いだ人だった。
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「学校建築は日本の将来を左右する。
なのに誰も真剣に考えていない」と。
彼は晩年病気で倒れてしまうが
彼は議会に掛け合うなど活動し続けた。
建物とその周辺
部屋と家具
そこで過ごす人
いかに環境が大切か
知っていたからだ。
じゃあ現在の学校建築はどうだろう。
教室があって教壇があり廊下がある。
そんな典型的な作りは戦後続いてきたけど
今はいろんな建築が行われるように。
最近はもっぱら耐震工事が多いけど。
一方そこで過ごす子供達はどうだろう。
その空間の使い方
なぜそのデザインか
それを教える時間を設ける
学校どれだけあるだろうか。
以前ワクワクさんが勤めていた学校で
改装中におじさんからあるクレームが。
「無駄な装飾しやがって!税金泥棒!」
そんなにすごい装飾ではなく
費用負担のない軽いものだったそうだ。
子供達は最低限のもので
無味乾燥に過ごせということ?
何かを見て綺麗だって思ったり
物の形の意味を考えたり
そんなことも無駄なんだろうか?
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もしそうであれば子供達は
将来クレームのおじさんと
同じになってしまう。
日本の子供達は忙しい。
美術や技術の時間は軽視されていた
と技術と数学担当だったワクワクさん。
でも教育の中で少しでも
身の回りのこと
物のデザインのこと
美しさや形のこと
そんなことを考える時間が
増えたらいいなと思う。
もちろんやっている学校はあるが
学校の特色としてやっている。
でも暮らしって
みんなが必ずすること。
キャンティレバーがどうがとか
有機的建築がどうとか
難しい話はいらない。
ただ暮らしやデザインについて
もっと考える時間が増えたらいい。
そしてフランキーやエンドーサンが思い描いた
人も自然も家具も
みんなが調和する空間が
増えたらいいなと嫁氏は思います。
おまけ:おやつタイム
帰りに近くのお菓子屋さんに寄った。
カヌレが小さくて愛らしかった。
素朴な見た目のクレープを選択。
店が推す商品以外のものを
敢えて選ぶのがMS家です。うまし。
☆追記:旧帝国ホテルを見に行きました。