MS家は夜お散歩やジョギングを
楽しんでいます。
年をとって元気にこの家で過ごし旅行するため。
帰ってくるといつも思う。
「我が家はいいなあ」
思いっきりひいき目。
自分の家ですからね。
でもこだわって作った
というのもあります。
照明の照度や彩度
外観の造形
いろいろこだわりが
あるせいかもね、ワクワクさん。
でもね夜にMS家を見ていいな
って思うのは素材のおかげ
もあるんだよ。
この家は造形だけじゃなく
素材への考え方も
ロンドンからヒントを
もらったんだ。
ロンドンへ旅行したとき
夜の町並みを散歩して
いろんなことを考えたよ。
何年も前ロンドンへ旅行に行きました。
他にも大英博物館へ行ったり
バッキンガム宮殿へ行ったり。
バッキンガムのお話はまた今度。
フィンランドから
ロンドンについたのは夜。
せっかくだからお散歩することに。
まずはロンドンブリッジを
歌いながらお散歩。
♪Longon Bridge is falling down
(ちなみに本当に歌って歩きました…)
タワーブリッジのライトアップは
絵も言われぬ美しさ。
セントポール大聖堂の円形は
遠くからでもすごい迫力。
川沿いの照明は青白い光でなく
赤みがかったオレンジ。
息を飲みすぎて
歌中断!!
次に街をぐるぐる歩こう。
ロンドンアイ
ホームズレストラン
ザ・シャード
ビッグベン
古いものと新しいものが
混在するのに調和する
ロンドンの街。
でも有名な建物だけじゃなく
街の全ての建物がどれも
魅力的でした。
ロンドンの街並みは
約500年前から
できています。
1600年代の大火事以降
建物はレンガや石以外で
建ててはいけないことに。
(ロンドン大火記念塔)
戦後の倒壊により一部建て替えが
行われたもののほぼそのまま。
国も住人も古い建物に
価値を見出しているようです。
例えば築70−80年前の建物は
新しすぎるという理由で住み手には
あまり人気がないそう。
戦後急ピッチで仕方なくできた
コンクリートの建物は
哲学がなく面白くないと。
そして国も古い建物の
歴史的価値を重要視。
外観や道路の条例を作り
勝手な変更を禁止する場所もあります。
政府と住人が共に街並みを
大切にしているようです。
次の世代へと受けつがれてきた建物を
見ると素材の重要さが見えます。
昼間の街並みも美しいロンドン。
でも夜は特に惚れ惚れします。
それはレンガや石といった
古くなっても味わいが増す
素材が使われているから。
レンガや石の建物は
陰影が美しい。
光が当たっているところと
影になっているところ
写真でもそうですが光一辺倒より
陰影がついたものは
魅力的です。
またレンガや石の建築は
職人の高い技術が必要であり
手仕事ならではの風合いが
陰影をさらに美しいものに。
そして古くなればなるほど
欠けたり剥がれたりして
さらに味わいが増す。
日本では住宅の寿命や性能が
変わろうとしています。
でもまだまだ
新しいもの=いいもの
という考えの方が強い。
もちろん設備や機械は
新しい方が性能が高い。
だからと言ってロンドンの家の
性能は決して低くはない。
例えば緯度が近いロンドンと仙台を
比べると仙台の方が冬は寒いのに
住宅性能はロンドンが高い。
(旭化成HPより)
つまり改修して
家としての機能を高めつつ
立て直しはせず
古いよさと新しいよさが生きています。
だからこそ
古き良き美しい街並みでも
日本より高い性能。
日本では地震が起こるため
古い街並み保存が難しい場合も。
また戦後多数の住宅を
急ピッチで造るために
安い素材の家が作られてきました。
30数年しか持たず時が建てば
取り壊して建て替え。
結果、住宅とパチンコ屋とカフェが
混在するガラパゴスな風景もある…
それを変えようとしているけれど
まだその感覚は消えていません。
この街並みを歩いて考えたのが
いつか家を建てるとしたら
ロンドンの家みたいにしたい
ということ。
長く使うほど風合いが増し
職人の魂がこもった家。
そして夜が似合う家。
伝統的な素材と方法で作られ
夜になれば美しい陰影をまとう。
そんな家がいい。
だってどうせ新しいものは
古くなる。
そうなったとき
それが味になるか
ただの古びた家か…
そしてできたMS家。
日本では地震が起こるため
残念ながらレンガの家は難しい。
そこで塗り壁の外観。
職人の技術によって
深い陰影が生まれる。
夜になると陰影が深くなり
その魅力が増す。
人間が年をとるほど魅力的なように
この家も年を重ねて深みを増して欲しい。
夕方帰ってくると
ロンドンでのあのお散歩を
思い出します。