大掃除に椅子たちを掃除。
特にバタフライスツールのこの隙間、
掃除機でウィンウィン攻撃。
金属部分に定番クレ556も。
うん、スッキリ。
どの角度から見ても独特の美しさ。
「天」を連想させる日本的美…
そんなバタフライスツールのお話。
デザインしたのは柳宗理.
デザインは家具だけでない
カトラリー
キッチンツール
今でも人気が高い。
海外のデザイナーにもファンがいて
ジャスパー・モリソン も影響を受けたと語る。
ヴィトラ Vitra オール プラスチック チェア All Plastic Chair
巨匠たち同士で交流も。すごい写真!
(深澤直人、柳宗理、ジャスパーモリソン)
柳さんの本名はむねみちさん。
気がついたら「そうり」になってて
外国人に挨拶するときは
I am sorry (SORI)!
とジョークを飛ばしたとか。
なんておちゃめ!
ここでは敬意をこめて
「おちゃめソーリー」と呼ぼう。
ソーリーの家具やツールは
なぜ長く人々から愛されているのか?
1956年に発表されたこの椅子は
イームズ の影響を受け成型合板で製作。
その形は遊んでいるうちにできた。
ソーリーはこう言っている。
「私は何を造ってよいかわかりませんでした。
それで私はビニールシートを温めて曲げ
いろいろな形を造って遊んでいました。
それも椅子を造ろうなどとは考えなくて
ただ板を曲げて何が出来るかどうか試行錯誤していました。
それを二、三年続けましたが最初は椅子が
出来るかどうかなんて本当に分かりませんでした。
そういったことをしているうちに
これはやっぱり椅子になるのではないか
と思い始めたのです。
そしてバタフライスツールの形態イメージが
徐々に固まっていったのです。」
(『柳宗理 エッセイ』より文章引用)
もちろんあの美しい曲線を製品化するには
技術者や職人の計り知れない努力があったはず。
そして「なんとなく」できるには基礎を
しっかり身につけることが必要。
戦時中は戦場でコルビジェの著書を
肌身離さず持っていたという。
輝く都市 (SD選書 33)(ル・コルビジェ著)
でもその製作過程にはソーリーの
「なんとなーく遊んでみようかな」
という好奇心と探究心が垣間見える。
一般的なデザインは
図面→製作
の過程。
でもおちゃめソーリーは違う。
模型→試作→使う→図面→製作
使う人の、使う人のための、使う人による製品。
だから出来上がる製品は手に自然となじむ。
ソーリーはこう言っている
「いいデザインというのは中身からにじみ出たものだ」
(『BRUTUS』より文章引用)
デザインとは「見た目」だけじゃない。
よいものを追求していけば自然とその形になる。
ソーリーはこうも言っている。
「本当の美は生まれるものでつくり出すものではない。
デザインは意識活動である。
しかし、自然に逆らった意識活動は醜くなる。
なるたけ自然の摂理に従うという意識である。
この意識はデザインする行為の中で
究極のところ無意識となる。
この無意識に到達したところより美が始まる。」
(『柳宗理 エッセイ』より文章引用)
家具や道具は「使うもの」で
自然体のソーリーの製品たち。
表面的な美しさだけでなく
「使いやすさ」が滲み出た美しさ
が長年愛される秘訣なのだと思います。
↓生前のお姿と製品の数々が見れます
いつかソーリーのキッチンツールを
手に入れなければなりませんな。
〜参考文献〜