北欧ミッドセンチュリーの家づくり

家具コンシェルジュ嫁氏の暮らしインテリア話

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バタフライスツールは自然体が生み出すロングセラー。I am Sori(sorry)柳宗理

バタフライさん綺麗になる

 大掃除に椅子たちを掃除。

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特にバタフライスツールのこの隙間、

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掃除機でウィンウィン攻撃。

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金属部分に定番クレ556も。

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KURE(呉工業) 5-56 (320ml)

 

うん、スッキリ。

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どの角度から見ても独特の美しさ。

「天」を連想させる日本的美…

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そんなバタフライスツールのお話。

バタフライスツール 天童木工 S-0521 

 

 

デザイナー柳宗理

デザインしたのは柳宗理.

 

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デザインは家具だけでない

カトラリー

 

柳宗理 ティースプーン ヒメフォーク 

 

キッチンツール 

 

柳宗理 ステンレストング 穴あき

 

今でも人気が高い。

 

海外のデザイナーにもファンがいて

ジャスパー・モリソン も影響を受けたと語る。

 

ヴィトラ Vitra オール プラスチック チェア All Plastic Chair 

 

巨匠たち同士で交流も。すごい写真!

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(深澤直人、柳宗理、ジャスパーモリソン) 

 

柳さんの本名はむねみちさん。

 

気がついたら「そうり」になってて

外国人に挨拶するときは

I am sorry (SORI)!

とジョークを飛ばしたとか。

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なんておちゃめ!

ここでは敬意をこめて

おちゃめソーリー」と呼ぼう。

 

ソーリーの家具やツールは

なぜ長く人々から愛されているのか?

 

①バタフライはなんとなくできた

 1956年に発表されたこの椅子は

イームズ の影響を受け成型合板で製作。

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その形は遊んでいるうちにできた。

 

ソーリーはこう言っている。

 

私は何を造ってよいかわかりませんでした。

それで私はビニールシートを温めて曲げ

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いろいろな形を造って遊んでいました 

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それも椅子を造ろうなどとは考えなくて

ただ板を曲げて何が出来るかどうか試行錯誤していました。

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それを二、三年続けました最初は椅子が

出来るかどうかなんて本当に分かりませんでした

 

ういったことをしているうちに

これはやっぱり椅子になるのではないか

と思い始めたのです。

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そしてバタフライスツールの形態イメージが

徐々に固まっていったのです。」

(『柳宗理 エッセイ』より文章引用) 

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もちろんあの美しい曲線を製品化するには

技術者や職人の計り知れない努力があったはず。

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そして「なんとなく」できるには基礎を

しっかり身につけることが必要。

 

戦時中は戦場でコルビジェの著書を

肌身離さず持っていたという。

輝く都市 (SD選書 33)(ル・コルビジェ著)

 

でもその製作過程にはソーリーの

「なんとなーく遊んでみようかな」

という好奇心と探究心が垣間見える。

 

②自然に従う

 一般的なデザインは

図面製作

の過程。

 

でもおちゃめソーリーは違う。

模型試作→使う→図面製作

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使う人の、使う人のための、使う人による製品。

だから出来上がる製品は手に自然となじむ

 

ソーリーはこう言っている 

 

「いいデザインというのは中身からにじみ出たものだ」

(『BRUTUS』より文章引用)

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デザインとは「見た目」だけじゃない。

よいものを追求していけば自然とその形になる

 

ソーリーはこうも言っている。

本当の美は生まれるものでつくり出すものではない。
デザインは意識活動である。
しかし、自然に逆らった意識活動は醜くなる
なるたけ自然の摂理に従うという意識である。
この意識はデザインする行為の中で

究極のところ無意識となる。

この無意識に到達したところより美が始まる。」

(『柳宗理 エッセイ』より文章引用)

 

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家具や道具は「使うもの」で

自然体のソーリーの製品たち。

 

表面的な美しさだけでなく

「使いやすさ」が滲み出た美しさ

が長年愛される秘訣なのだと思います。 

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↓生前のお姿と製品の数々が見れます

youtu.be

 

いつかソーリーのキッチンツールを

手に入れなければなりませんな。 

 

 

〜参考文献〜

柳宗理 エッセイ (平凡社ライブラリー)

一脚の椅子・その背景―モダンチェアはいかにして生まれたか

増補改訂 名作椅子の由来図典 年表&系統図付き