椅子を見に車屋さんへ?
ふふふ…
どうしたんすか?ニヤついて!
なんか顔が気持ち悪いっす!
なんか顔が気持ち悪いっす!
失敬な!
ちょっと椅子を見てきたんだよ。
もう最近の中では最高ランクに
楽しい時間だった…
まさにパラダ椅子!
へ〜、大絶賛だね!
どこに行ってきたの?
どこに行ってきたの?
ホンダ。
は?
「ホンダ」っていう家具屋さんっすか?
いや、車のホンダね。
ほらフィットとかオデッセイとかの。
なんで椅子?
そのホンダね
名作チェアが並んでるんだよ!
もう最近は普通に買えないレア物まで!
だからちょっと車を言い訳に見てきたんだ。
もうホントすごかった!
今までは家具時々、車だった
MS家はオタク夫婦。
嫁氏は重度の椅子オタク。
椅子が好きすぎて現在24脚。
増えたから家を建て椅子と住んでいる。
一方うちのワクワクさんは
車が大好きな車オタクだ。
すれ違う車種の名前をすべて言い
最近は聞いてもないのに解説までする。
嫁氏が家具屋に行くのが好きなように
彼はディーラーに行くのが好き。
車はまだ買い替える気はないし
新車を買う気もない。
ただ見るのが好きなのだ。
試乗して終わった後に
デザインや乗り心地を解説する。
聞いてもないのに…
ただ苦痛ではない。
むしろ聞くのは楽しい。
嫁氏は車のことに詳しくないが
自分の好きな世界を熱弁されるのは好きだ。
ワクワクさんも
嫁氏のマニアックな話を聞いてくれる。
家具、時々車。
今まではそんな感じだった。
ただ最近
家具屋がどんどんなくなってる。
家具を買う人がネットに流れたり
大型チェーン店が増えたり
コロコロ騒ぎとか。
いろんな理由が重なって
個性のある家具屋さんとか
町の家具屋さんは衰退の一途。
チェーンを否定はしないし
自分も利用することはある。
ただみんな同じで面白さはない。
数年前に家具屋が減ってる話をしたが
今はもっと状況がひどくなっている。
確かに家具はネットでも買える。
だけど座り心地とか質感とか
ちゃんと確かめながら買うには
やはり実店舗の存在は大きい。
デザインだって写真で見るのと
実物を見るのでは大違いだ。
実物を見るとちゃんとした家具からは
細かい部分への配慮や技工が伝わる。
ニュースや調べ物で日々世に絶望する嫁氏に
ある日ワクワクさんがこう言った。
面白いホンダを見つけたよ☆
嫁氏は絶対喜ぶよ!
ワクワクさんはヴェゼル見たいし♪
休みの日に行ってみよう!
嫁氏は絶対喜ぶよ!
ワクワクさんはヴェゼル見たいし♪
休みの日に行ってみよう!
は?ホンダ…?
はて、嫁氏は気になる車はないのだが…
…って思っていたら
パラダ椅子なホンダだった!
木製×ガルバのかっこいい外観
とある休日にお邪魔したのは
姫路の西の方にあるホンダさん。
まずこの店自体かっこいい。
木製サッシとガルバの対比が個性的で
カーブした入り口が面白い。
…って入り口に
パントン嬢じゃないですか!
うちのテラスにもある子だけど
ホワイトは気品がある。
いい。すごくいい。
では中に入ってみよう。
車屋に見えないパラダ椅子
ぬおおおおお!
なんじゃこりゃあああ!
え、ちょっとまって待って!
あれとかあれがあるよ!
もう見かけない
あれとかあるよ!
これって◎△$☓♪×¥●&%#?!
▲☆=¥!>!!♂×&◎♯£
はあぁ〜!!
って脳内大混乱になりながら
あくまで顔は平静を装う椅子オタ。
どうどう、嫁氏、どうどう。
苦手なカエルさんのことを考えるんだ。
ふう…
この空間はまさに
スペースエイジインテリアだ。
スペースエイジインテリアとは
60年代前後の有機的なデザインの
家具で構成した近未来的なテイスト。
背景や詳しいテイストはこちらをどうぞ。
このインテリアで使われる家具は
個性的でカラフル。
それでいてシンプルさもある。
そして万人受けしないような
インパクトの強いデザインが多い。
だからこのインテリアの椅子は
名作揃いでマニアも多い。
では嫁氏が特に好きなものを
紹介していこう。
この店の椅子全部話してたら字数がすごいことになるっすもんね…
椅子オタによるお店の椅子解説
定番人気のチューリップチェア
まるで花弁のようなチューリプチェアは
スペースエイジインテリアの定番チェア。
この椅子をデザインしたのは
イームズさんと仕事をしていた
建築家のエーロ・サーリネン。
ごちゃっとなる椅子の脚を
スッキリさせるために生まれた。
テーブルの下の椅子の脚の混乱状態をスッキリさせたい!あ〜!スッキリさせたい!
そんな思いで作られたこの椅子。
一本脚の椅子は今でこそよく見かける
デザイン当時は画期的。
座面はプラで脚はアルミダイキャスト。
なのにこの一体感はすごいと思う。
今はリプロもたくさん出回ってるけど
正規品はknoll社が製造中で新品も買える。
ただ日本の家具屋で置いてるケースは少ない。
実は水に浮かびます。パスティルチェア
まあるくて不思議な形の
パスティルチェア。
わーい!僕をデザインしたアールニオおじいちゃんの椅子!
やったね!
この椅子をデザインしたおじいちゃんは
この椅子をデザインしたおじいちゃんは
ボールチェアでも有名な人。
曲線を使った面白いデザインが多く
ミッドセンチュリーやスペースエイジ
が好きな人にはたまらないデザイナーだ。
パスティル=錠剤という意味で
小さくて可愛いお菓子をヒントに
デザインされた。
サイズは迫力あるけど。
ロッキング機能もついていて
FRP製だから見た目は硬そうだけど
実は座り心地のいい椅子。
でもそれだけじゃない。
夏が短い北欧では
限られた時間を楽しむべく
夏休みに水辺で過ごす人も多いとか。
おじいちゃんもそうで
この椅子は水に浮かぶように作られた。
オブジェのようなこの謎の物体は
れっきっとした椅子。
だから見た目に反してかなり軽い。
正規品はフィンランドのアデルタ社。
リプロは出回ってるけど正規品は
日本ではあまり見かけないレア。
何これ?でも座り心地良し!エクストレム
オブジェのようなこの謎の物体は
れっきっとした椅子。
ノルウェーのデザイナー・エクストレムが
自分の名前をつけた椅子を作った。
建築家やデザイナーは椅子に
自分の名前をつけるケースが多い。
スチールパイプにポリウレタンを巻き
布を張ったこの椅子は
見た目に反して座り心地がいい。
実は座り心地を追求した椅子で
まっすぐ座ったり斜めに座ったりと
いろんな心地よいポジションができるよう
設計されている。
ただ実店舗ではあんまり見かけない。
激レア!ガーデンエッグチェア
エッグチェアといえば
MS家にもあるヤコブセンの方を
想像する人も多いかもしれない。
だけど実は「エッグチェア」と
呼ばれる椅子はいろいろある。
そしてスペースエイジテイストには
エッグチェアと呼ばれるものが結構ある。
このガーデンエッグチェアもその一つ。
この椅子はハンガリー出身のデザイナー
Peter Ghyczy(ピーターギッシー)
が手掛けたアウトドア用の椅子。
Peter Ghyczy - Der Evolutionaer
閉じるとコロンとした形になり
座面が濡れないように設計された。
いろいろな素材が出回っている現代なら
形の工夫でなく撥水素材で作っていただろう。
屋外用の椅子であっても心地よくなるよう布を張り
それを開閉で濡れないようにするという発想。
そして庭のアイコンになるようなフォルム。
現代ではできないようなアイデアが素晴らしい。
今はジェネリックも出回っているけど
オリジナルはドイツのReuter Products社。
もう新品はない貴重な製品なので
日本で見かけることはかなりレアで
海外では高値で取引されている。
生きてるうちに実物に座れる日が来るとは…
しかも車のディーラーで。
熱いものづくり精神を感じる昔の家具作り
もっと話したい椅子さんもあったし
椅子だけでなく照明やテーブル、
家電や小物についても話したい。
だけど一つのアイテムだけでも
一記事書きたくなるくらいなので
この辺にしておこう。
案内してくれた優しいおじさんによると
社長さんが家具好きで集めていたらしい。
その社長さんとお友達になりたい。
「貴重なものらしいですが
僕にはよくわからなくてね、ハハ!」
というおじさん。
おじさん
ここの椅子合わせたら
新車より高くなりまっせ…
と言うのはぐっとこらえた。
こういう個性のある家具は
今ではすごく貴重だ。
最近は車でも家具でも見てて思うのが
デザインに「無難」なものが多い。
「みんな」に受けて
「そこそこ」かっこよくて
「割と」使いやすい。
それはビジネスを考えたら当然かもしれない。
だけど家具をたくさん見てきた嫁氏は
それってなんだか面白くないと感じる。
だからこそミッドセンチュリーや
スペースエイジデザインに惹かれるのだろう。
素材も技術も限られていた時代の
なんとか他にないものを作ってやろう
座りやすくて楽しいものを作ってやろう
という作り手の熱い思いを感じるのだ。
家具屋より家具屋らしい
姫路のホンダさん。
あなたと出会えて
嫁氏は久々に家具の魂を
感じることができた。
素敵な時間をありがとう。
そして椅子ばっか見てて
ごめんなさい…
そうだよ!肝心のヴェゼルさんは?
試乗もさせてもらったんだけどね
これが予想外に良かったよ。
グリルが同色っていうのもいいし
後列を跳ね上げれば
アウトドア用品も自転車も詰める。
ミニにはまだまだ乗る予定だけど
中古で13年を超えると税金上がるから
数年後には買い換える予定なのね。
その時の候補の今の所の筆頭が
シトロエン・ベルランゴ。
だけどヴェゼルはミニと同じくらいのサイズで
デザインにも中にもこだわりを感じる。
何よりヴェゼルにしたら
修理・点検でこの店に来れる。
よって椅子に会える。
結局椅子かい!