ただいま!
ベア「もーうどこいってたんすか?」
ポニ「お土産は?」
ちょっと用事で愛知県に行ってたんだ。
せっかくだから家具好きとして
いろんなものにまみれてきたよ。
建築にまみれ
椅子にまみれ
本にまみれる。
そんな好きなものにまみれた
愛知県の旅。
これから何回かに渡って
そんな旅のお土産話をして行こう。
今回は建築にまみれる旅。
ポニ「この建物ってまさか…」
ベア「MS家にあるあの照明の人だ!」
そう、明治村に行ってきたよ。
名古屋の北、犬山市にある明治村。
自然豊かで巨大なこの博物館には
多数の歴史的重要文化財が保存されている。
明治時代は建築、産業など様々な点で発展が起こり
現代の暮らしに与えた影響も大きい。
震災や街の発展で失われゆくそんな文化財を
戦後保存しようとスタートしたのがこの明治村。
建築的な文化財から
機械の文化財。
バチモンでなくガチな文化財を
散歩をしながら楽しむことができる。
山の中にあるので四季も楽しめる。
行った日は紅葉がとても綺麗だった。
また平日にも関わらず結構人がいた。
社会科見学の小学生やコスプレーヤーさん
MS家のような建築好きまで様々。
途中で食べたコロッケうまい。
4時間ほど滞在したけど
全然見終わらなかった。
そのうち2時間くらい時間をかけて
見た場所がある。
それがずーっと憧れていた
旧帝国ホテルの玄関。
嫁氏は好きな建築家が何人かいる。
その一人がフランクロイドライト 。
・近代建築の三大巨匠
(あと二人はコルビジェとローエ)
・自然大好きっ子
・プライベートはやや難あり
(不倫、浮気相手と旅行)
・浮世絵コレクター
・完璧主義でこだわりマン
・建物だけでなくトータルデザイン
・旧帝国ホテルの設計
・照明は日本のヤマギワが復刻
・世界の美しい建築「落水荘」設計
フランキーと勝手に呼んで彼への愛は
このブログでも何度か取り上げてきた
あまりに好きすぎてリビングには
彼のデザインの照明タリアセンを取り入れた。
芦屋にあるヨドコウ迎賓館にも行った。
いつか落水荘にも行ってみたい。
なぜそんなに好きなのか?
一つはいい意味で尋常じゃない
こだわりを持つ人だからだ。
例えば室内の装飾は全て彼らしい
シンメトリーな模様をたくさん取り入れる。
今なら機械でできそうなものだけど
当時は手作業で全て作られた。
嫁氏もこだわりマンだから
そんな人は大好きだ。
もう一つは住まいと自然との関わりを
教えてくれた人だから。
彼が設計した旧帝国ホテル玄関が
今も保存される明治村。
嫁氏にとっては聖地巡礼。
寒い中薄着とコスプレ魂で乗り切る
レイヤーさんに負けない熱量で鑑賞してきた。
さて行ってみよう!
まずは正面。
かっこいいい!!!
レンガや青銅、大谷石、独特の細かい模様。
外観からしてフランキーらしさが漂う。
実は明治村に移設された帝国ホテルは
玄関のみ。
実際は左右に客室があり
奥にはダイニングがあった。
けれど老朽化による取り壊しもあり
あまりに大きすぎて移設だけでも大作業。
実際移動するのに8年。
移動作業が終わるまでに8年。
計16年かかったとか。
壊れた部分も多く忠実に再現するために
成分分析してパーツの一つ一つが作られている。
そして補修にかかった費用は
約10億円。
そう考えると
玄関だけでも移動できたのが奇跡だ。
さて中に入ってみよう。
建物内は自由に見られるけど
ボランティアガイドさんによる案内もある。
今年はフランキーの没後60年なので
記念のしおりもいただいた。
さて行ってみよう。
おおおおおお!
なんて立体的な空間!
ぐるっと見渡してみよう。
↓クリックで再生(音注意)
2階や3階に渡り廊下なのような空間
そして所々に使われる間接照明や
窓による採光。
全部が一体となって惹き込まれるような
立体感を感じる。
アメリカ人フランキーが作ったのに
どことなく和の雰囲気を感じないだろうか。
それもそのはず。
彼は浮世絵コレクターで日本マニア。
彼の建築には日本的な部分が随所に見られる。
例えばこのホテルの照明。
江戸時代に使われていた行燈を
モチーフにしたと言われているそう。
また椅子好きとしても彼の家具は
語っておきたい。
帝国ホテルのためにデザインされた
ピーコックチェア。
(一部には座ることができる)
フランキーは自らが手がける建築では
照明から椅子までなんでもデザインした。
というのも彼はこう考えているから。
「家具の形状は全体の中で意図され
かつ楽しまなければならない」
つまり箱物を作るならそこにある調度品も
含めて調和するものにしたい。
そんな彼のこだわりの強さを感じる。
またこの椅子の高さにも驚く。
おチビな嫁氏もしっくりくる高さ。
そこで実際に過ごす人の使いやすさと
調和を考えるのがフランキーだ。
さて2階に行ってみよう。
2階には男女に分かれたくつろぐ部屋
と喫茶店がある。
ちょっと前から日本の住宅で流行ってる
スキップフロアをこの時代からやってたとは。
あとかの有名なポーツマス条約を結んだ
テーブルも展示されていた。
ガイドさんによるとこのテーブルを見るために
明治村に来た人もいたそう。
すごいこだわり。絶対話が合うわ。
こだわりといえばここでも
フランキーのこだわりを感じる。
例えばここから見える外の庇(ひさし)。
フランキーの好きな青銅製。
取り外したものがこれ。
なんとこれ全部手作業で作られている。
今はプレス機などで時間短縮でできそうだが
当時は手で作るしかなかった。
そしてさらにこの庇には秘密が。
なんとこの葉っぱの部分は光に当たると
室内の床に葉の陰を作り出すそう。
この日は残念ながら曇りで見えなかったけど
その演出に驚愕。
いい意味で頭おかC。
フランキーの建築にはひたすら
「自然との調和」を感じる。
落水荘や自宅タリアセンを見ても
外と内との連続性を感じる。
彼はこう言っている。
「自然を学び自然を愛し自然に寄り添おう。
自然は決して君たちを裏切らない。」
子供の頃農場の手伝いをして過ごしたフランキー。
彼は自然の力や生物の完成された造形の魅力を
十分に理解していた。
建築は人が作り人が利用するもの。
だからこそ自然とのつながりを
大事にしていたのだと思う。
空間へのこだわり
使う人を考えた調度品へのこだわり
装飾へのこだわり
自然へのこだわり
そんなフランキーのこだわりを
存分に感じる建築が旧帝国ホテル。
そのこだわりが許されていたか
というとそうではない。
あまりにこだわりが強すぎて
予算オーバーで喧嘩してクビになり
完成を見ずに帰国してしまう。
あとはお弟子さんの遠藤新さんが
引き継いで完成させた。
しかもフランキー
「もっとこここうしよう」
「あそこにあれをつけよう」
とどんどんアイデアを出してくる。
ああ、嫁氏はその気持ちすごくわかる!
今の時代なら絶対に
できない建築だろう。
こだわりがあると時に辛い。
それに振り回されできないと
心が窮屈になる。
きっとフランキーもこだわりによって
たくさん辛い思いをしただろう。
でもこだわりは活力を生み出す。
フランキーは不遇の時代があったけど
晩年盛り返して90歳まで現役だった。
またこだわりは人を惹きつける。
旧帝国ホテルは60年代
老朽化などの理由で取り壊しが決まる。
関東大震災も東京大空襲も乗り越えたけど
都心に建つホテルとしては宿泊人数も少ない。
でもこの建物に魅了された人々により
取り壊し反対運動が起こる。
結局は壊されてしまうけれど一部を
こうやって体験することができる。
こだわりを持つことは時に辛い。
でも時にエネルギーとなる。
そして嫁氏にはやっぱりこだわりって
核になるもので大事にしたい。
そんなことをこの旧帝国ホテルで
感じることができた。
これはもういつか落水荘に行くしかない。
名残惜しさを残しつつ明治村に別れを告げた。
そして次に向かうのは
パラダ椅子。
名古屋で名作椅子にまみれよう。
☆続く↓