中高価格帯編日本ver.だよ
ベア「只今新生活を迎える人のために
ネットや実店舗で買える家具を紹介中」
ポニ「これまで低価格帯、中価格帯、
中高価格帯の家具についてお話したよ」
今回紹介するのは中高価格帯の家具。日本編。
値段の感覚は人それぞれ。
だけど一応の基準として
今回取り上げる北欧家具の相場は
椅子は2-10万くらい
ソファや安楽椅子は
30-80万円くらい
日本の中高価格帯家具
日本の中高価格帯家具は
次のような傾向がある。
・老舗が多い・倒産や廃業危機を経験・経営改善で生まれ変わる・生まれ変わり後は世界へ
メイドインジャパンの家具
日本の職人が作る家具というと
どんなものを思い浮かべるだろう。
カリモク
(MS家のカリモク電話台)
天童木工
(MS家のコーヒーテーブル)
マルニ木工
(アクタス101脚椅子展)
秋田木工
飛騨産業
(ギャッベ展にて)
宮崎椅子
(宮崎椅子ショールーム)
シラカワ
いずれも日本という場所柄
木の特性を生かした家具が多い。
このうち
カリモク
天童木工
宮崎椅子
マルニ木工
には共通点がある。
マルニ木工さんについては
以前に実際に話を聞いて書いた。
今回は3つのメーカーのお話。
①カリモク
年齢が上の層と
若い人でイメージが
異なるメーカーだ。
というのもバブル期を界に
大きく事業転換したからだ。
1940年創業の同社は
ミシン台の生産などを経て
家具を生産。
60年代には今も愛される
Kチェアが誕生した。
その後最盛期はドマーニという
ロココ風な高級家具を生産。
でもバブル崩壊後
売れなくなる。
ヤバイ。
そこで2002年心機一転。
「普遍的に愛されるデザインを」
とカリモク60が誕生。
これは60年代の家具の復興。
新しい時代なのになぜ60年代?
と思われるかもしれない。
50年代アメリカミッドセンチュリー期は
家具の改革が起こった時代。
その流れが日本に伝わり
日本でもものづくり
が最も熱かった時代だ。
シンプルで高品質のため
世界にも通用する普遍的なデザイン。
そんなものを物が溢れる今だからこそ
カリモクとして示していこう!と。
そこで廃盤になったKチェア復活。
モケットグリーンの美しい椅子は
瞬く間に若い人の心を掴んだ。
それを皮切りにテーブルやサイドボード
椅子
などレトロな家具が生まれていく。
もはやカリモクといえば
小洒落たインテリアとなった。
今ではイタリアの世界的家具見本市
ミラノサローネの常連だ。
カリモク60はこちらのHP
またはこちらの店舗で買えます。
以前ショールームにも行った
山形の天童木工。
バタフライスツールに代表されるように
成型合板を得意とする家具メーカー。
MS家では玄関で和モダンな空気感を
作り出している。
座り心地はアレだが
そういう椅子じゃない。
成型合板の美しさを愛で
ちょっとした時に使う椅子だ。
海外の雑誌でもよく見かけ
いろんなデザイナーとコラボ。
レクサスの内装も手がける。
1940年創業の老舗の天童木工にも
危機があった。
天童木工はそもそも一般向けより
建築家との共同作業が多かった。
例えば柳宗理
丹下建三
剣持勇
↓剣持さんとヤクルトの話
建築家の事業では
椅子が大量に必要。
1000とか3000とか。
だから建築家の間では
知られた家具メーカーだった。
でも90年代になり大型事業が
減っていく。売り上げダウン。
ヤバイ。
そこで一般消費者向けへ
方向転換することにした。
ブランディングの徹底研究で。
まずターゲットを絞り
「嫌われるくらいの
個性あるデザイン」を目指す。
「10人中7人が好きになるより
10人中1人が好きになればいい」
と。
つまりいろんな意見を取り入れて
アレもこれもやるより
根強いファンを作ろうという
思い切った戦略。
商品もバタフライだけに頼らず
デザイナーとのコラボ。
北欧の巨匠ブルーのマットソンに依頼し
畳でも使えるイージーチェアを作った。
そして天童木工も2008年
ミラノサローネで世界へ羽ばたいた。
リオオリンピックでは卓球台も手がけた。
pin
天童木工の家具はこちらのHPや
こちらの取り扱い店舗で買えます。
③宮崎椅子
こちらも以前ショールームと
工場見学をさせてもらった。
カイクリスチャンセン
宮崎椅子製作所 ORI オリスツール
美しいデザインとしっかりした技術
彼のヴィンテージテーブルが
など日本や世界のデザインを
日本の職人が製造。
しかも機械を使って
うまくコストダウンを図るため
他のメイドインジャパンより
比較的買いやすい値段。
同社は1969年に地元の
大塚製薬の家具部門の
下請けとしてスタート。
(徳島の大塚製薬)
その後いろんな会社の
OEM(相手先ブランド)
として椅子を製造。
でも時代とともに家具は
売れなくなる…
コストダウンを迫られ
発注は減っていく。
ヤバイ。
そこで社長はある決断をした。
「下請けやめちゃおう」
(宮崎椅子本社)
デザイナーを自ら探し
自社の製品として製造。
でも変えないこともあった。それは
「ちゃんとした椅子を作ること」
工場見学をして感じたのは
かなり少人数であったということ。
(宮崎椅子工場)
多分20-30人くらい。
受注生産だから1日にできるのは
20-30脚くらいだそうだ。
でもそれでいい、質の悪い50より
質のいい20-30を作りたいと。
(宮崎椅子ショールーム)
美しいデザインとしっかりした技術
を併せ持つ椅子は次第に人気を獲得。
特に巨匠カイさんとのコラボはアツい。
(宮崎椅子ショールーム)
彼のヴィンテージテーブルが
MS家にある。
人気があるのにヴィンテージ自体
数が少なく価格が高騰。
MS家のテーブルも
現在日本では絶滅状態だ。
そこへ来て宮崎椅子での復刻。
ファンは歓喜。
日本の高い技術力で
巨匠の椅子やテーブルが買える。
どの椅子も素晴らしいけれど
カイさんの椅子は別格。
(宮崎椅子ショールーム)
何と言っても軽い!
椅子の座面裏を金属にするなどして
軽量化を図っている。
(宮崎椅子)
椅子を出したり引いたりする
ダイニングチェアとして優秀。
美しく機能的な椅子。
(宮崎椅子ショールーム)
そして形は違うけど
テーブルも復刻した!
宮崎椅子さんもミラノサローネの
常連さんだ。
宮崎椅子さんはこちらの取り扱い店舗
または取り扱い店舗内のHPで買えます。
たくさんの人の関わりで
経営難を経験し復活劇を遂げた
メイドインジャパンのメーカーたち。
共通して見られるのは
「ターゲット層の絞り込み」
「価値観の創造」
最近のドラッグストアのように
なんでも揃ってみんなに売る
ではない。
マーケティングを行った上で
きっちりターゲットを絞り込む。
(家具屋さんのマルニ。ミナペルホネンコラボ)
その上でお客さんのいう通りでなく
自分たちが主体となって新しい
価値観を創造している。
(家具屋さんのカリモク)
どのインタビューを読んでも
実際に話を聞いても感じたのが
「今はいいものを作れば
売れる時代ではない」
ということ。
日本の職人さんたちは
今は減っているけど
優秀な人が多い。
でも職人さんは技術はあっても
営業やプロデュースのプロではない。
つまり職人だけでなく
各分野のプロが必要。
現在の暮らしに即したデザイン
誰をターゲットにするか
製品としてだけでなく
会社としてブランディング
できているか
それができて初めて
家具は魅力的となり
所有欲に繋がる。
(宮崎椅子ショールーム)
だって家具買う時って
ワクワクするものだから。
つまり椅子が一脚できるには
いろんな人の関わりがそこにある。
その椅子が魅力的に見えるのは
職人の技術力はもちろん
デザイナーによるデザイン
プロデュースする担当者
詳しい販売員
魅力的なショールーム
みんなのおかげ。
いろんな人の関わりがあり
価値づけが行われている。
そしてそこには人件費が発生する。
だから中高価格帯の家具は
この値段なのだ。
(ペーパーナイフ@家具屋さん)
再生していくこれらの
日本のメーカさんたちは
日本国内だけでなく
世界へ目を向けている。
(アクタス)
(アクタス)
日本国内で住まう人はもちろん
世界の住まう人に向けて
日本の確かな技術力とデザイン力を
発信していってほしい。
↓続きは高価格帯家具