ポニ「あれ?客間のアントチェアが
移動している…また模様替え?」
あのね実はここにちょっと前まで
別の椅子があったんだ。
ベア「椅子?!また?!
じゃあ20脚目?!」
うん。でももうないけど。
ポニ「ドユコト?」
あるいすが一瞬やってきたけど
とある理由で去っていったから
辛くてアントくんを置いてるんだよ。
ものを選ぶ時や家づくりするときは
何を選ぶかだけでなく
誰から買うかも大事だと思ったよ。
あるお気に入りの
ヴィンテージショップにいった時
ものすごいものを見つけたんだ。
スワンチェア。
↑こちらはフリッツハンセンの本物
アルネ・ヤコブセンこと
ヤコブっちデザインの椅子。
エッグチェア
(香川の家具屋さんにて)
MS家のアントチェア
MS家のセブンチェア
など20世紀を代表するものを
デザインした巨匠。
フリッツハンセン社が
販売している。
うちのアントやセブンはボロボロを
激安で買ってリペアした。
だけどスワンチェアは
滅多に中古に出回らない。
なぜか?
元々いいお値段する(中古の車買える)
からそんな思い入れのあるものを
なかなか手放す人はいないからだ。
そして中古であっても
ポーンと買える値段ではない。
もちろん値段にはその理由がある。
ヤコブっちがホテルのために威信をかけて
デザインし作りも素晴らしいものだから。
↓後日実際デンマークで見てきた
だけどMS家には今は無理だ。
そんなスワンチェアが
お気に入りのヴィンテージショップで
破格の値段で売られていた。
どういうことかと思い
『ハチミツとクローバー』の美大にいそうな
オサレお兄さんに聞いてみた。
嫁氏「これは本物?フリッツハンセンですか?」
オサレお兄「そうです。本物です」
嫁氏「なぜこんなに安いんですか?」
オサレお兄「本物だとわかっていますが
ステッカーや刻印がないのです。
この地域ではデザイナーズは人気がないし
在庫処分なんですよ…」
フリッツハンセンのものには
大抵刻印やステッカーがある。
それがない?
本当に本物?
それからお兄さんに
仕入れの経緯とか
椅子について根ほり葉ほり聞いた。
お兄さんはやや不慣れな感じがしたが
その場で一緒になって色々調べてくれた。
お兄「刻印がないものもあるようです」
本物か?
いやでもなあ。
そもそも嫁氏はスワンチェアの
実物は数回しかみたことない。
その時見た脚の形状や形は
確かに似ている。
↓本物の脚
だけどもしそうなら
これはまたとないチャンスだ。
そこで何時間も悩んだ挙句
購入することにした。
色々不安はあったが
お店とお兄さんを
信用することにした。
その日は嬉しくて
なんどもなんども愛でた。
しかし数日してから
やはり引っかかるものがあった。
タグだ。
タグには「フリッツハンセン」の文字はなく
椅子の張り地の取り扱いの
注意事項が英語で書かれていた。
もしかしたらファブリックだけ
取り替えたのかもしれない
でも変だな。
そう思って
その注意事項の文言で
検索をかけた。
某国のリプロダクト専門店が
ヒット。
うちのスワンチェアもどきがそこにいた。
しかも中古で買ったよりも
安い値段で新品が売られていた。
もうあの子を見ていられなかった。
リプロダクトについて以下をご覧ください。
嫁氏のリプロについての意見も以下。
要はリプロダクトって意匠権が切れた
もののコピー。
日本では違法ではないし
気軽に楽しめるメリットもある。
※ただしYチェアのコピーは日本では
「商標権」という意味でアウトです。
だからリプロを選ぶことに対して
嫁氏は本人の選択だと思う。
だけど自分はどうかと言われたら
できれば嫁氏は持ちたくない。
なぜなら作った人の思いを知ると
やはり本物を選びたいと思うからだ。
1つのデザインを産むのにどれだけ大変か
どんな苦労があったか
それを知るほど
本物の方が持っていて嬉しい
本物でないならいっそ持ちたくない。
何をコピーとするとかは
線引きが難しい。
だってこの世の中の音楽、映画、椅子
いろんなものは先代から学んで影響され
できているからだ。
かなり類似するものもあれば
一部が影響かなってものもある。
パントンチェアもそうだしね。
だけどスワンチェアでないものを
「ヤコブセンのスワンチェア」
として売られる場合は違う。
それをMS家に置くことは
尊敬するヤコブっちに申し訳ない。
実際フリッツハンセンは
リプロダクトに反対しているのを
知っているからだ。
そういうわけでMS家は中古の正規品に
こだわって長く可愛がっている。
だからお店に相談して返品してもらった。
お店の人は丁寧に謝ってくれた。
ごめんねお店の人。
中古って普通は返品しないもんね。
ごめんねスワンもどき。
あの子は決して悪くない。
ただやっぱり嫁氏はどうしても
あの子を見ているのが辛かった。
じゃあ今回のことは
何が行けなかったのか?
お兄さんだけが悪いのではない。
嫁氏の見る目のなさ
不勉強も悪い。
イームズチェア、セブンチェアは見慣れている。
でもスワンは甘かったのだ。
正直この記事は
自分への戒めでもある。
だけどお店の人にももう少し
確認して欲しかったなあ。
だって素人が調べて
わかってしまうことだ。
「これは刻印ないけど本物です」
「刻印がないこともあります」
っていうならその裏付け
ちゃんと取らないとまずい。
もちろん嫁氏も正規にこだわるなら
確認すべきだったけど
そこは店を信用していたのだ。
でもお兄さんと会うのは初めて。
お兄さんは決して悪い人じゃない。
むしろ人柄はいい感じだった。
本当に正規だと信じている感じだった。
でも「正規」が嫁氏のこだわりなら
もっと詳しい人に話を聞くべきだった。
嫁氏反省。
何を買うか以上に
誰から買うかって大事なことだ。
家についても同じことが言える。
今までいろんな営業さんや
売り手さんに出会ってきた。
最初から売ろう売ろうとしている人
聞く姿勢がない人
自分のことばかり話す人
そんな人からうっかり買うと
いくらものには満足しても
どうも後味が悪い。
それにものでなくサービスに置いて
あとで後悔することも少なくない。
また今回のケースのように
何かこだわりがあるならそれについて
詳しいプロに頼むことも大事なこと。
「家を建てる」「家具を買う」
「家電を手に入れる」
というのは大きなお金が動く。
そのものだけでなく
手に入れるまでの過程も含め
購入活動の一部だからだ。
信頼できる売り手に出会い
人を見抜き頼むこともまた
後悔の少ない家づくりや買い物。
そういう人に出会うのは難しいけど
ものを見つける以上に
力を注ぐべきことだ。
是非みなさんもそんな人と出会い
後悔の少ない家づくりができますように。
そしていつか本物のスワンさんと
出会えたらいいな。
ベア「まだ椅子増やす気?!」
先は長いからね。25脚くらいは
いける!嫁氏は椅子バカだからね。
のんびりと探してうちの子に
なってもらおう。
そのために今日も塩ご飯で頑張るよ。