ベア「そろそろ暑くなったっす!
絨毯変えなくていいんですか?」
うちは取り替えるような
ラグやゴザとかないよ。
年中そのまま!
ポニ「いくらズボラだからって
さすがに絨毯敷きっぱなしは…」
いーのいーの!
うちのギャッベさんは
夏も冬も快適な絨毯。
イランの女性たちの
家族や自然への思いを感じる
世界に一つだけの絨毯なんだよ。
イランの絨毯って言えば
ペルシャ絨毯が有名。
でもペルシャ絨毯はもっと目が細い。
でもギャッベはその言葉の意味
「ざっくりした」というように
目が荒いのが特徴。
そしてギャッベには今は
「ギャッベ」
「ギャッベ風」
「コピーギャッベ」
いろんなものがある。
本来のギャッベは職人さんの感性で
デザインが決まる場合がある。
職人さんというのは
遊牧民の女性たち。
標高2000m以上の山岳地帯では
カシュガイ族という遊牧民がいる。
300年以上厳しい大自然の中で
家族で助け合いながら生きてきた民族。
彼らが共に移動するのが犬、ヤギ、
そしてギャッベの材料羊。
200匹以上の羊を連れて
年2回移動するという。
そんな移動中に女性たちが
織るのがギャッベ。
看板も何もないただ広がる
山や空の大自然に囲まれて暮らす
彼女たちの自然への好奇心と
家族の幸せへの願いが
織り込まれたのがギャッベ。
ギャッベは遊牧民たちの
生活用品だった。
最近日本でも結構ギャッベを見かける。
元々一民族の絨毯が
どうして世界に広まったのか?
それはこのおじちゃん
ゴラムレザ・ゾランバリーさんが
世界的ブームを作ったから。
ゴラムおじちゃんは絨毯やさん。
おじちゃんが若い時に持っていたのは
156枚のギャッベだけ。
ポニ「そんなに?!うらやましいい!
ギャッベで値段の幅が広いけど
本場のは割といいお値段するよね…」
ところがどっこい!!
1950年代当時
ギャッベ=安物
ペルシャ絨毯=高級
という認識があった!
おじちゃんは
「あんな安物ばっか集めて
何がしたいの?」
なんて言われてたそうだ。
そんなとき一人のヨーロッパ人が
おじちゃんから全てのギャッベを購入。
その次来た時は
1000枚のギャッベを注文。
そこから世界に広がっていった。
今やゾランヴァリ社は
イランのファールス州で
石油を除いた部門の
輸出高第1位。
でも地位を築いたからと言って
横暴なビジネスはしない。
例えばおじちゃんは取引するとき
遊牧民を信頼する。
ギャッベは品質とサイズで値段が違う。
サイズを測る時自分が測るのでなく
売り手にサイズを言わせて
それを信じてそのまま買い取る。
「私がずっと絨毯を買ってきた村の女性たちの生活は
以前はずいぶん貧しく彼らの装いもみすぼらしかった。
ところが今では、良質なギャッベを織り、それを売ることで、
生活は格段に豊かになり、子供達も教育をうけることが
できるようになっている、それは私にとっても大きな
喜びだ。」
彼の働きによりギャッベは
「安物の絨毯」でなく
「アート」としての
価値付けが生まれた。
そしてそのことで職人である
遊牧民たちの生活が変化。
ギャッベが世界中で人気になり
「ギャッベっぽい絨毯」が
安価で流通しているけれど
「ゾランヴァリ・ギャッベ」は
職人が丹精込めて作った
価値あるギャッベの一つ。
①思いを織り込む
ゾランヴァリのギャッベには
「オールドギャッベ」
「プロデュースギャッベ」
がある。
「オールド〜」はオーダーによる
「商品」のためのギャッベでなく
純粋な遊牧民の感性で作られた物。
例えば有名なのが「生命の樹」
木を神秘的な存在と考え
根っこの現生から空に向かって
枝を天国の階段として表現。
MS家のギャッベは「プロデュース〜」。
モダンな生活様式でも使えるようにと
図案を元に遊牧民たちが織ったもの。
図案があると言っても一点一点手作業で
同じ物は2つとない。
彼らの生活場所にギャッベを置いた写真。
これを見るとしっくり馴染み
「プロデュース〜」でも
彼女たちの自然への感性を感じる。
②素晴らしい色彩感覚
カシュガイ族の女性たちの服装は
非常に華やか。
どの写真でも赤や緑など
何色もの鮮やかな色を自由に着こなし
色彩感覚の豊かさを感じる。
その感覚がギャッベにも現れている。
ギャッベにはいろんな色があって
鮮やかなものが多い。
ただ一色のみというのは見かけない。
例えば赤だけの絨毯でも
微妙にグラデーション。
それは自然の色から
インスピレーションを
得ているからだそうだ。
自然にはいろんな色が入っている。
夜も黒でなく青や赤が混じっている。
自然を感じながら培ってきた
豊かな色彩感覚を惜しみなく
発揮していると言える。
③撥水性と耐久性
原料の羊毛は油分を含んでいる。
だから多少水をこぼしても
弾いてくれる。
それからカシュガイ族の織る
ギャッベは耐久性に優れている。
彼らの住む地方は寒暖の差の激しい
乾燥した地域。
だからウール自体が
コシがあって強い。
実際「オールド〜」とは30〜100年
使われている物を指している。
もちろん100年以上経ったものもある。
つまり大事に使えば
100年いやそれ以上持つことも。
ちなみにお手入れは掃除機で十分。
クリーニングは約10年に一回。
④夏も冬も
ウールのもう一つの特徴は
「熱伝導率が低い」こと。
↓熱の伝わりにくさの話
冬は暖かく夏は涼しい。
湿気を吸収して蒸発する時に熱を
奪うから夏は涼しく感じる。
つまり一年中敷きっぱなしでも
問題ないってこと。
富豪でないMS家がこんなにすごい絨毯
どうやって手に入れたのか?
それは義母さんからの結婚祝い。
だからこのギャッベには
遊牧民のお母さんたちの想いと
義母さんからの想いも込められている。
(お店に見に行った時)
夏も冬も一年中ずーっと一緒に快適に過ごせるギャッベ。
そしてアートとして目で見ても楽しめるギャッベ。
そんな風に夫婦でこの家で
ずっと一緒に快適に過ごしていきたい。