以前断捨利の目的手段について書き
たくさんのご意見をいただきました。
さて、ものは捨てないMS家ですが
一つ一つのデザインはシンプルなものを好みます。
イームズさんしかり。
無印良品の冷蔵庫しかり。
夫氏「嫁氏はいつもリモコンのボタンは
多すぎるってうるさいもん」
なぜならシンプルなものは
いろんなものと合わせやすく
最終的に使いやすいと感じるからです。
つまり、デザインがシンプルであることは
使える幅が広がり、ストレスを減らし
豊かなことに繋がると個人的に思うのです。
今から70年以上前に
''Less is more''
(少ないことはより豊かなことだ!)
というフレーズを唱えた人がいました。
それが近代建築の父の一人
ミース・ファンデルローエ大巨匠。
Mies - Mies Van der Rohe Society
今回はLess is moreの意味をひもときながら
デザインと心の豊かさについて考えてみよう♪
なおこの記事は嫁自身の解釈であり、個人の意見です。
また嫁氏は手段として上手に断捨利される方を
否定する気はありません。
ただMS家はものを大事にしたいだけ。
ミース巨匠は建築家でデザイナー。
家具好きさんにはバルセロナチェアや
一筆書きなデザインのMRチェア で有名。
また、巨匠は「バウハウス」という
建築やデザインなどの美術の総合学校の
最後の校長先生でした。
MS家のこのポスターはバウハウスの資料館。
本物はこんな感じ。
Abschlusswochen „Open House“ - Ausstellungen - Bauhaus-Archiv
バウハウスのすごいところは
1919年に開校して
ナチスによって閉鎖されるまで
たった14年間しか存在しなかったのに
近代のデザインに大きな影響を与えたこと!
例えば
①バウハウスの考え方
「産業」と「芸術」を仲良くさせること!
むかーしイギリスでは産業革命によって
「粗悪品」が世の中に出回る事態発生!
「そんなことやめようぜ!」っていう運動が
ドイツまでやってきた。
でもそれは昔に戻ってこういう椅子を
作ろうというのでなく
合理主義や表現主義いろんなものを混ぜ合わせて
みんなが使いやすい「機能」を持つデザインを
つくろうぜ!っていうのがバウハウス。
②大量生産しようぜ
だから「芸術のための芸術」でもなく
粗悪な大量生産でもなく
新しい材料や方法を使ってみんながいいものを
使えるようにしようとしました。
これはほんの一部の影響!
他にもいっぱい現代への影響あり!
バウハウスにいたミース巨匠を始め、
初代校長先生かつ建築の父の一人グロピウスさん
はアメリカに亡命。
そんなすごい人たちの思想がアメリカに渡り
アメリカ版バウハウスな学校で勉強したのが
イームズさんたち。
だからイームズチェアには「機能性」「シンプルさ」
「大量生産」というバウハウス的な考えが詰まってます。
MS家の椅子たちは
More is more状態だけれど
一つ一つの椅子には
「少ない材料で心地よく座れる」
「シンプルな形で他の家具とも仲良し」
という''Less is more''の精神があふれています!
さて、最近は「ミニマリスト」さんや
「断捨利」される方に好まれる
このLess is more。
このLess is moreのいいだしっぺは
ミース大巨匠ではありません!
実は1855年にロバート・ブラウニングという詩人のかいた詩の中のフレーズ!
『アンドレア・デル・サルト』という
実在の画家をタイトルにした詩。
画家のアンドレアが浮気性で若い奥さんルクレッチアに
「俺は君のためにいろいろ
捧げとるんだけん、
俺の気持ちわかってよ!!!
俺だってミケランジェロ
みたいに芸術したかー!
でもさ俺には養わんといけん人が
いるんたい!」
という働くお父さんの悲痛な叫びを唄う詩。
例えば、前に紹介したMS家のゴミ箱ideacoさん
キャラクターでいうとミッフィー
ちゃんにも感じます。
ウサギを極限まで単純な線で
表しているのにどこか温かさや
優しさ、愛らしさがある。
あとMS家といえば塩ご飯ですね。
嫁氏は塩ご飯ランチにしてから
「ふりかけ」や「漬物」などと食べるより
さらに「お米の甘み」を感じるようになりました。
そして、普段塩ご飯だからこそ
夫氏が休みの日に一緒に食べる
唐揚げやカレーがよりありがたく感じる…
(ってこれは塩ご飯を推奨しているわけではないですよ)
そんなわけでLess is moreは日常にたくさん
あふれています。
ただ、Less is moreの目的は
少ないことが「より豊かになること」。
決して「少ないこと」自体が目的では
ないと思うのです。
前回のお話断捨利の「目的と手段の区別」のうち
これは「手段」だと思っています。
少ないことそのものが「目的」になってしまうと
それはLess is lessを招くと思うのです。
だからMS家はLess is moreなデザインが
好きではあるけれどそれだけじゃない。
MS家は「家を楽しむ」「暮らしを楽しむ」
という豊かさの目的のためにLess is moreな家具に
アートやユーモアなどの独自の個性をトッピング。
だって、機能って大事だけれど
好きなもの、いろんなものを集めて置くのもまた楽しい。
Less is moreは
心の豊かさを手に入れるための
手段の一つだと思うのです。