北欧ミッドセンチュリーの家づくり

家具コンシェルジュ嫁氏の暮らしインテリア話

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捨てない暮らしでもLess is more(レス・イズ・モア)

MS家は捨てない暮らし

 

以前断捨利の目的手段について書き

たくさんのご意見をいただきました。

 

さて、ものは捨てないMS家ですが

一つ一つのデザインはシンプルなものを好みます。

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イームズさんしかり。

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無印良品の冷蔵庫しかり。 f:id:mashley_slt:20180306155405j:image

 

夫氏「嫁氏はいつもリモコンのボタンは

多すぎるってうるさいもん」

 

なぜならシンプルなものは

いろんなものと合わせやすく

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最終的に使いやすいと感じるからです。

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つまり、デザインがシンプルであることは

使える幅が広がり、ストレスを減らし

豊かなことに繋がる個人的に思うのです。 f:id:mashley_slt:20180306160035j:image

 

今から70年以上前に

''Less is more''

(少ないことはより豊かなことだ!)

というフレーズを唱えた人がいました。

 

それが近代建築の父の一人

ミース・ファンデルローエ大巨匠。

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Mies - Mies Van der Rohe Society

 

今回はLess is moreの意味をひもときながら

デザインと心の豊かさについて考えてみよう♪

 

なおこの記事は嫁自身の解釈であり、個人の意見です。


また嫁氏は手段として上手に断捨利される方を

否定する気はありません。

ただMS家はものを大事にしたいだけ。

 

 

 

Less is more & ばうはうす?

 

ミース巨匠は建築家でデザイナー。

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https://pin.it/6vln76rv7hgyrf

 

家具好きさんにはバルセロナチェア

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Barcelona® Chair | Knoll

 

一筆書きなデザインのMRチェア で有名。 

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MR Chair | Knoll

また、巨匠は「バウハウス」という

建築やデザインなどの美術の総合学校の

最後の校長先生でした。

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https://pin.it/kzi27aqcydgudl

 

MS家のこのポスターはバウハウスの資料館。 f:id:mashley_slt:20180306160124j:image

 

本物はこんな感じ。

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Abschlusswochen „Open House“ - Ausstellungen - Bauhaus-Archiv

 

バウハウスのすごいところは

1919年に開校して

ナチスによって閉鎖されるまで

たった14年間しか存在しなかったのに

近代のデザインに大きな影響を与えたこと!

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例えば

①バウハウスの考え方

「産業」と「芸術」を仲良くさせること! 

 

ポスター バウハウス

 

むかーしイギリスでは産業革命によって

「粗悪品」が世の中に出回る事態発生!

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https://pin.it/s2cg6xhahrmvnj

 

「そんなことやめようぜ!」っていう運動

ドイツまでやってきた。

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(英で「やめようぜ」運動をしたモリスさんのデザイン)

 

でもそれは昔に戻ってこういう椅子を

作ろうというのでなく

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https://pin.it/pzozjqtpwm5xru

 

合理主義や表現主義いろんなものを混ぜ合わせて

みんなが使いやすい「機能」を持つデザイン

つくろうぜ!っていうのがバウハウス。

 

ポスター バウハウス

 

②大量生産しようぜ

だから「芸術のための芸術」でもなく

粗悪な大量生産でもなく

新しい材料や方法を使ってみんながいいものを

使えるようにしようとしました。

 

これはほんの一部の影響!

他にもいっぱい現代への影響あり!

 

バウハウスにいたミース巨匠を始め、

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ミース・ファン・デル・ローエ - Wikipedia

 

初代校長先生かつ建築の父の一人グロピウスさん

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ヴァルター・グロピウス - Wikipedia

 

アメリカに亡命。

 

そんなすごい人たちの思想がアメリカに渡り

アメリカ版バウハウスな学校で勉強したのが

イームズさんたち

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(クランブルックアカデミーホームページ<英語>)

 

だからイームズチェアには「機能性」「シンプルさ」

「大量生産」というバウハウス的な考えが詰まってます。 f:id:mashley_slt:20180306160430j:image

 

MS家の椅子たちは

More is more状態だけれど f:id:mashley_slt:20180306160457j:image

 

一つ一つの椅子には

「少ない材料で心地よく座れる」

「シンプルな形で他の家具とも仲良し」

という''Less is more''の精神があふれています! f:id:mashley_slt:20180306160527j:image

 

言い出しっぺは詩人さん

さて、最近は「ミニマリスト」さん

「断捨利」される方に好まれる

このLess is more。

より少ない生き方 ものを手放して豊かになる

 

このLess is moreのいいだしっぺは

ミース大巨匠ではありません!

 

実は1855年にロバート・ブラウニングという詩人のかいた詩の中のフレーズ!

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ロバート・ブラウニング - Wikipedia

 

『アンドレア・デル・サルト』という

実在の画家をタイトルにした詩。

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アンドレア・デル・サルト - Wikipedia

 

画家のアンドレアが浮気性で若い奥さんルクレッチアに

「俺は君のためにいろいろ

捧げとるんだけん、

俺の気持ちわかってよ!!!

俺だってミケランジェロ

みたいに芸術したかー!

でもさ俺には養わんといけん人が

いるんたい!」

という働くお父さんの悲痛な叫びを唄う詩。 f:id:mashley_slt:20180306160605j:image

 

Who strive—you don't know how the others strive 
To paint a little thing like that you smeared 
Carelessly passing with your robes afloat,— 
Yet do much less, so much less, Someone says, 
(I know his name, no matter)—so much less! 
Well, less is more, Lucrezia
 
誰かが努力していることなんちゃ
君にはわからんとね。
ささいな絵を描くために。
ふわふわスカートを「あらま」と掠らせて汚す
ぐらいのささいな絵をば。
 
誰かがこげん言うとよ。
(その誰かってーのは知っちょるけどどうでもよか!)
「おめえさん、ささやかなことしてんな!
っつーか本当にちいせぇ
取るに足らんことしてんな!」と。
いや、ルクレッチアよ
こげん小さか、ささやかなことこそ
俺にとっちゃ豊かさなんさ!
引用・訳 嫁氏)
 
見てわかるように
元は「ミニマリスト」や
「機能性」「デザイン」
とは全然関係のないお話
使われていました。
 
お父ちゃんの暮らしの中での嘆きですね。
 
でも、デザインって暮らしや生活に影響を与えると思うのです。
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使いやすい、よいデザインというのは人の暮らしを快適で豊かなものにする。逆もしかり。 f:id:mashley_slt:20180306160742j:image
 
 
ミース大巨匠がどういう流れでこのフレーズを
お弟子さんや教え子に放ったかは知りません。
 
でも、この詩を読んだとき「暮らしとデザインの関係」
「暮らしの豊かさ」「デザインがつくる豊かさ」
を見ていたんじゃないかな嫁は勝手に思っています
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日常の中のLess is more
 
小さなこと、少ないこと、シンプルなことで
より豊かさを感じる場面は日常にたくさん。

 

例えば、前に紹介したMS家のゴミ箱ideacoさん  f:id:mashley_slt:20180306161053j:image

 

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キャラクターでいうとミッフィー

ちゃんにも感じます。 

 

ウサギを極限まで単純な線で

表しているのにどこか温かさや

優しさ、愛らしさがある。

 

あとMS家といえば塩ご飯ですね。 f:id:mashley_slt:20180306161424j:image

 

嫁氏は塩ご飯ランチにしてから

「ふりかけ」や「漬物」などと食べるより

さらに「お米の甘み」を感じるようになりました。

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そして、普段塩ご飯だからこそ

夫氏が休みの日に一緒に食べる

唐揚げやカレーがよりありがたく感じる…

(ってこれは塩ご飯を推奨しているわけではないですよ) 

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そんなわけでLess is moreは日常にたくさん

あふれています。

 

少なくすること自体が目的じゃない

 

ただ、Less is moreの目的は

少ないことが「より豊かになること」。 f:id:mashley_slt:20180306161757j:image

決して「少ないこと」自体が目的では

ないと思うのです。

 

前回のお話断捨利の「目的と手段の区別」のうち

これは「手段」だと思っています。

 少ないことそのものが「目的」になってしまうと

それはLess is lessを招くと思うのです。

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だからMS家はLess is moreなデザインが

好きではあるけれどそれだけじゃない。

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MS家は「家を楽しむ」「暮らしを楽しむ」

という豊かさの目的のためにLess is moreな家具に

アートやユーモアなどの独自の個性をトッピング。

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だって、機能って大事だけれど

好きなもの、いろんなものを集めて置くのもまた楽しい。

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Less is moreは

心の豊かさを手に入れるための

手段の一つだと思うのです。