北欧ミッドセンチュリーの家づくり

家具コンシェルジュ嫁氏の暮らしインテリア話

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日本のものづくり精神が宿る!フランクロイドライトの照明タリアセン

巨匠の照明タリアセン
MS家の寝室で存在感を放つ照明

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↓寝室の内覧会



巨匠フランク・ロイド・ライト

名作照明タリアセン。

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チェリー材でできたパーツが美しい!!!

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そしてデカイ…

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一階のリビングはこのタイプ。

Frank Lloyd Wright(フランクロイドライト)

↓現在のリビング


こんな感じでここでも存在感すごい!

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光が上からだけでなく

反射板に当たっていろんな方向から

関節光がでてぼんやりと灯る。

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タリアセンという照明は

一般的にはこういうスタンドが人気。 

Frank Lloyd Wright TALIESIN 3(タリアセン) チェリー

 

小さいバージョンも。

 

 

でもMS家にはちょいと高い…

だから壁付けできるタイプを選択。

 

このタリアセン、デザインはライトさんだけど

現在出回っている正規品は復刻版

 

 

リプロダクトもある。

 

リプロダクトってなあに?という説明や

嫁氏のリプロダクトについての考えはこちら↓

 

実はヤマギワという日本の会社だけが

フランクロイド財団から

「世界で君だけが復刻OK!」

とお墨付きをもらっている!

 

本家が「作っていいよ」と

オフィシャルにお願いするってすごい!

 

そんなタリアセンと

ものづくり日本についてのお話。

 

 

 

 

 

ふらんくろいどらいとってだあれ?

  ライトさんは建築家

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ル・コルビジェ

Le Corbusier (1964)

ル・コルビュジエ - Wikipedia

 

前に書いたミース・ファンデルローエと並ぶ

 

「近代建築の巨匠」の一人。

MS家では尊敬の念を込めてフランキーと呼ぶ!

 

NYのグッゲンハイム美術館

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(グッゲンハイム美術館公式HP<英語>)

 

落水荘フォーリングウォーターで有名。

落水荘

(落水荘公式HPトップページが動画で水の流れが観れます

 

実は日本にもゆかりのある人物で

あの帝国ホテルも設計

 
 
 
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明治村で当時の玄関を見ることができます

 

フランキーは日本文化に興味があり

かなりの浮世絵収集家

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(メトロポリタン美術館での展示:フランロイドライトと浮世絵展PDF)

 

落水荘も葛飾北斎からインスパイアでは!?

なんて言われいる。

Katsushika Hokusai 001

阿弥陀ケ滝 - Wikipedia

 

そう考えるとこのタリアセンに

和の要素が垣間見え和室にも似合う気が。

 
 
 
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たりあせんって?

 

 本来はこれのこと。

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(タリアセン公式サイト<英語>

 

 アメリカウィスコンシン州にある

フランキーの家!

Frank Lloyd Wright | Taliesin

 

なんと800エーカーの土地に自宅、

スタジオ、学校まで!!

 

クマのプーさんの森が100エーカー

東京ドーム9個分だから

その8倍!

 

前に紹介したLAのエニスハウスは

設計であり自宅ではない。

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でもこれは自宅!

 

この中の劇場に1933年につけられたのが

このペンダントの照明「タリアセン」

 

下に降りる直接の光と反射する光が

合わさって眩しすぎないけどやや明るい。

 

残念ながら火事で劇場は焼けちゃうが

そのあと改装されてできたのが置き型タリアセン2。

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ただこれらは量産型でなく

フランキーが手がける建築物の中につけられたもの。

 

タリアセンを取りつける時

建物の大きさによって

照明の四角い部分の大きさを

いちいち変えていたそうだ!!

 

すごいこだわりだ。

 

そんな照明タリアセンを一般の人にも

買えるようにしたのが日本の照明の会社

ヤマギワさんだった。

  

ヤマギワさん選ばれる

 1980年代に入り、フランキーの死後

フランクロイド財団は考えた。

 

「よし、フランキーの考えたデザインを

世の中のみなさんに使ってもらって

彼の考え方を後世に残そうじゃないか!」

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そこで復刻&ライセンスプロジェクトを始動!

彼のアイディアや技術を再現できそうな企業

を厳選しライセンス契約を結ぶ。

 

そして家具、装飾、オブジェなどを復刻

というプロジェクトだ。

 

これが実は超難関で、

そう簡単にライセンスは渡さない。

一分野一社のみ!!!

 

しかもそのための調査というのは

まるでミ◯ュランみたいに極秘に行われたそう。

ミシュランガイド東京 2018

 

だから財団が

「ヤマギワさーん、あなたフランキーの照明

作って下さるかしらん?」

なんて打診あったときは

 

「は?なんのこととやら?」

とびっくりしたようだ。

 

ヤマギワさんの前身、ヤマギワ株式会社は

1923年創業(当時は山際電気商会)。

秋葉原2003年 (東京都千代田区) - panoramio - gundam2345 (4)

(2003年の丸芝ビルヤマギワソフト)

 

ガラスや金属、木材などあらゆる素材を

扱える技術力が評価されて選ばれたそう。

 

1992年にライセンスをゲットしたものの、

大変だったのが採寸。

 

財団から図面をもらったものの

「実物もちゃんと確かめておこう」と

全米各地で現存のタリアセンを測ったところ

全部サイズが違ったそうだ…

(つまりフランキーの照明はオーダーメイド!)

 

 

正規ライセンスを本家からもらい

しかも世界で唯一のライセンスだ。

ものすごいプレッシャーだっただろう。

 

そんな困難を乗り越えて94年に

復刻タリアセンが販売。

 

以後、チェリー材だけでなく、

ブラックバージョンや桐材バージョンも誕生。

 

 

世界唯一のタリアセンライセンス保持者

として作り続けている。

 

ベア「ヤマギワさん、がんばったね!」

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ただ全てが順調ではない…

 

残念ながらバブル崩壊後は業績悪化し

いくつかの事業を現エディオンや

Ishimaru Denki Yokohama

ヤマギワ (1923-2011) - Wikipedia

 

ソフマップに譲渡している。

Sofmap Tokyo Akihabara main store

ヤマギワ (1923-2011) - Wikipedia

 

そして2008年のリーマンショックのあおりで

2011年には一度消滅…

 

産業再生機構の支援を受け

現在はMARUWAの子会社化となって

東京や大阪にショールームを置いている。

 
 
 
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yamagiwa osaka | ショップ & ショールーム|YAMAGIWA

 

 

時代の流れを見抜けなかったこともあるだろうし

家具市場の低価格路線の加速もあるだろう。

 

支援の際には日本での建築環境に少なからず

貢献したことが評価されたそうだ。

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ヤマギワさんが復活しなかったら

タリアセンをMS家に招くことは

できなかったのでありがたい。

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ただ高い技術を持っていても

生き残るとは限らない

とつくづく思った。

 

「売れるものをつくるのか」

「いいものを作り買ってもらうようにするか」

 

デザインや職人、伝統、経済

あらゆることを考えると非常に難しい問題だ。

 

ユーザーの意見だけを全て聞き入れると

過剰な機能や安さ重視だけのモノになることも。


一方どんなに高い技術でも

どんなに素晴らしいものでも

中身が伝わらず、興味のない人が見ると

ただの高いだけのガラクタに見えることも。

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伝統や高い技術を残していくためには

企業努力ももちろん大切だが

作り手が情報を発信していくと共に

ユーザーもモノの成り立ちやコストの中身

知っていくという相互の力が必要ではないか。

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日々の食費予算ギリギリなMS家としては

30円のもやしより26円のもやしは有難い。 

 

もやし

 

でもその4円の差はなんなのか?

企業努力か?

 

誰かの賃金が削られているのか?

はたまた作り手が涙を飲んでいるのか?

 

と答えのないことをぐるぐる考えつつも

日本の技術や伝統を残すために

問題意識を持つこと自体は

無駄じゃないと信じています。 

 

☆フランキーの話はこちらでも↓ 

 

 

↓フランキーの建築訪問記